歯科医療を支える歯科技工士の現実
4月から新年度です。
今日は息子の入学式でした。 次第に書かれた新相模原市長や議長、教育長の祝辞は決まり文句が並んでいましたが、それでも春は春、桜も咲いて希望に萌えています。
でも、私たち歯科医療業界に身を置くものにとっては、4月からは保険制度改定によりやり場の無い怒りと危機感とに包まれた新年度の始まりです。
この改定内容については、詳しいHPが見当たりません。 検索すると厚生労働省のHPに中医協の審議会資料が見られるくらいです。
歯科関連でざっと目を通して見ましたが、マイナス改定とか言う生易しいものではなく、バッサバッサと削除してという感じです。 これは今まで出来た認められていた診療行為が出来ない、評価されないということです。
いや、診療上やるしかないことも点数が付かない、お金にならないということです。
歯科医師は点が無いからやらないという選択もあるでしょうが、医療である以上必要な行為は点のあるなしに関わらずやるしかないのが実態でしょう。 これは歯科医師のメンタリティーやモチベーションを大きく殺ぎ落とす改定です。
歯科技工士はもう何十年も前から評価されない行為を、自身の信念で手抜きすることなく行ってきました。
低料金と長時間労働を当たり前のこととして。 これについては都技の加藤さんがTBSラジオ下村健一の「目のツケドコロ」に出演して語っています。 出演のきっかけになったのは歯科技工士の置かれた環境や仕事の実態を撮影した 「トーチ・プロジェクト」応募作品2006年4月3日 入れ歯作りの現場から~口の中の偽装問題 加藤雅司 を通じてのことだそうです。
ぜひご覧ください。
なんだか国が変わって仕返しをしてくれているように感じなくもないのですが、現状では歯科医師に財政破綻のしわ寄せをよこすことは歯科技工士を更なる窮地に追い込むだけで、そうなれば最終的には患者さん国民がその付けを負う事になるでしょう。
国の方針として保険の歯科医療は疾病に対してだけ適用されるようになるかもしれません。
炎症や感染を取り除き治療するだけに。 修復や欠損補綴は全て患者負担になると。
それはそれで良いでしょう。 歯科技工士としては保険だからということで料金を過度に抑えろとの圧力もなくなってくれ、患者さんに対しては自身の技工の価値をしっかりと評価していただき対価を求めることも出来るでしょうから。
でも、お金が負担できなくて、義歯や差し歯を入れられない、今まで受けられた医療も受けられないという人がたくさんでてくると思います。 負担できる人口に対しては歯科医師も歯科技工士も過剰であれば元の木阿弥でしょうけど、負担できない人たちというのも相当な数となり、医療難民、義歯難民と言いたくなるような人達が出てくる可能性もあると見ています。
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