« 歯科医指導で贈収賄 | Main | 歯科衛生士法の改正を求める陳情署名にご協力ください。 »

May 17, 2007

木を見て森を見ず 指導医療官とは何者か

「自民党迂回献金システムの闇」日歯連事件の真相。 角川書店発行のこの本は、東京新聞取材班との著者名が示すように、東京新聞の記者達が取材し纏めた記事を元にした本である。
この本を読んだ多くの読者は、医療保険制度を取り巻く政官業のパワーゲーム、癒着体質、それぞれが利権や利益に預かろうとしてエゴ丸出しで蠢きあう、底なしの闇を垣間見た事だろう。

歯科技工士の私。 30年間、毎日のように保険での補綴物、自費診療と名のつく補綴物を、只作りつづけてきた。
それがどういう所以で何故歯科技工士が作製にあたるのか、技工士と言う職務や資格、業務内容や医療制度、医療保険との関わりなど、さしたる理解も無いままに、院内ラボにいては歯科医師の診療に必須の補綴物を作製するにのみならず、時に印象や出来上がったもののチェック、調整、装着まで行うと言う、本来歯科医師のやるべき業務まで行っていた時期もある。

目先の仕事に追われつづけ、生活を成り立たせるのに精一杯だった私は、制度の仕組みにまで目を向ける事無く、ひたすら歯科医師と歯科技工士との立場とヒエラルキー、収入の格差にのみ、不満を怒りを募らせてきた。

歯科医療に提供される、技工士の血と汗の結晶とも言うべき補綴物の金銭的な評価はあまりにも低い。
品質への追求も、歯科技工士に作業が回る以前の段階から、あまりにもおそろかにされてきた。

何故、その様な状況が私が技工士になった30年前から変わらない事なのか。
歯科技工士だけの責任なのか、歯科医師と歯科技工士の立場の違いだけが、その理由なのかを考えないままに今に至ってきたのである。

医療制度と医療保険制度の最初から、この制度は大きな問題を抱え、放置したままその場しのぎの改定と、政官業それぞれの組織や個人の思惑、エゴ、腐ったプライドに翻弄されてきたのだと、今あらためて思う。

指導医療官という存在も、医療保険制度と言うものを多少なりとも齧って見れば、なにやら必要な事のようにも思えてくる。 それが、制度本来の目的に寄与すると言う前提であればだ。
医療保険制度が抱える問題を、修正し、円滑に動かす為だと言うのであれば、指導医療官には高い中立性と高潔な人格、歯科医療への深い経験と知識とが求められるだろう。

しかし、医療保険制度を知れば知るほど、其の問題の数と底の深さは、指導医療官の存在をも利権やエゴの道具に変え、何時しか医療制度のグレーゾーンを操り制度に巣食う宦官へと変えていったのだろう。

社保庁汚職、担当外情報も聞き出す 佐藤容疑者 他の医療官から
2007年5月17日 東京新聞夕刊から引用

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007051702016861.html

医療保険制度が抱える、数々の問題、欠陥、政官業、日本歯科医師会などの存在や利権エゴにも目を向け、解体的な出直しを計らなければ、この先もこのような事件は繰り返され、歯科医療の存在基盤は崩壊するのだろう。

逮捕の前日歯専務 開業医に裏工作持ちかけ
2007年5月17日 東京新聞朝刊から

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007051702016732.html
 
東京新聞は、今回の事件を受けて新たな連載を始めた。 医療Gメンと表記しているが、Gメンとは名ばかりの指導医療官が何故生まれ、跋扈しているのかを問うていただきたいものだ。

橋本派による1億円贈収賄事件を、自民党迂回献金システムの闇と言って、追求しておきながら、結局闇の中も
闇そのものが何であるのかも明かせなかった事が、繰り返される事件報道で新聞マスコミの限界を示してしまっていると言えないだろうか。

私は思う。 医療保険制度そのものが闇の正体なのだと。 医療保険制度に関わる人々の恐れや沈黙こそが闇を拠り深くより暗くしていくのだと。

闇のそこから声が聞こえてくる、闇を照らすかすかな光がともっている事に気付いて欲しい。

|

« 歯科医指導で贈収賄 | Main | 歯科衛生士法の改正を求める陳情署名にご協力ください。 »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 木を見て森を見ず 指導医療官とは何者か:

« 歯科医指導で贈収賄 | Main | 歯科衛生士法の改正を求める陳情署名にご協力ください。 »