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May 14, 2007

歯科医師は医療を、技工士は補綴を

また更新の間が空いてしまった。 ブログをご覧になっていただいている皆さんに申し訳ないと思う。

私は みんなの歯科ネットワークで色々と学ばせていただいている。 歯科医療の問題、社会保障や医療保険制度、医療系技官の問題など。
歯科技工士には関係の無い事だと距離を置こうとする人も多いのだろうが、歯科技工の抱える制度的な問題、就労環境の問題、政治的な問題は、強く影響を受けているというより、歯科医療業界が抱える上記の問題の表れが歯科技工士と其の社会に縮図となっていることを気付かせていただいている。

みな歯科メルマガの編集も担当させていただいているが、思うようにキーボードを叩く事が出来ないでいる。
生活も出来ないような収入や技工料金の問題など、客観的に纏める事すら苦痛に感じる時もある。

私達歯科技工士の仕事や取り巻く環境は、今や危機的状況にある。
其の状況や理由、予想される将来像を伝えたいのであるが、歯科医師と歯科技工士の議論は、いつまでたっても技工料金など、補綴物の価値の取り合いに行き着くばかりで、お互いの資格を非難し、責任のなすりあいに終始してしまう。

ある先生が纏めている技工士関連の資料に寄れば、歯科医院の収入に於ける、補綴関連の割合は47.8%に達している。 現行の歯科医院経営で歯科技工に依存する割合が如何に大きいかをご理解いただけよう。
其の数値のすべてが、技工士による技工だとは言わない。
歯科医師が直接行っている技工も含めてのものだ。 

歯科医療というものが、医療と言うよりも「歯大工」と揶揄されるのも致し方ない部分もある。
補綴と言うものは、歯科医師が手がけ様が歯科技工士が作製しようが、品質としては何も変わらない。
むしろ、それだけをやってきた歯科技工士が手がけた方が、高い品質を維持できていると思う。

21世紀になり日本では構造改革の掛け声が吹き荒れた。 ここに来て、其の弊害も世間に知られるようになってきた。 しかし、世間と言う鍋の中からでは、どの業界も皆似たように苦境にあえいでいるものだから、どこも同じだよだとか、皆一緒だとかと言い合うばかりで、物事の本質が俯瞰できず、ネットカフェ難民や生活保護にももれた人達が、鍋の底に沈んでいくのも他人事、いや、むしろ悪い事に自分達も鍋で煮えあがりつつあるのに、鍋底に沈んだ人よりかましだと思うことで、鍋の状況に目を瞑り耳を塞ぎ口を閉ざしているに過ぎないのだ。

見ざる聞かざる言わざる。 21世紀を生きる術が鈍感力などというのでは悲しすぎる。
何故、社会の政治の業界の状況を直視しようとしないのだ。
鍋がひっくり返るとでも思っているのだろうか。
鍋を炊きつけて美味しい所を啜って行く存在にも気付いて欲しい。

表題に戻ろう。

補綴が歯科医院収入の47.8%に関わるのであれば、補綴物の価値が歯科医業収入の大きな支えであることは理解できよう。 医療保険制度であれば、歯科診療報酬点数票などにある歯冠修復および欠損補綴の点数が占める割合、技工的な診療行為が大きいという事であり、歯科医師も其の収入を大きな拠り所にしていると言える。
日本の国内法では、補綴を業務としてできるのは、歯科医師と歯科技工士に限定されている。
同一職務にダブルライセンスが存在する訳だ。 それ故、補綴は其の二つのライセンスの間で価値の取り合いとなってきた。

どこかで明確な線引きをしなければ、今の苦境から脱する事は出来ないのではなかろうか。

国は構造改革を理由に、医療保険制度にも大きなメスを入れてくる。 歯科医療業界が受けている圧力や変化も同じ所から来ている。 一旦、傷を抱えてしまった業界や組織は、反論する事も声を上げることも出来ずに、社会の圧力に潰されて行く。 或いは時代の変化、社会構造の変化から存在を認められなくなって消えてゆくものもある。

歯科医療業界はあまりにも身内に傷がありすぎた。 それ故何も反論できないままに、政府や官僚のシナリヲに流されて行く状況である。 

技工士会からの国会議員の誕生が、歯科業界の苦境を救う手段足りうるのだろうか。
鍋が揺らされあふれ出た汁が歯科技工から立つ人に見えてしかたがない。 言葉は悪いが、私には馬糞の川流れという言葉が浮かぶのだが。

歯科医師と歯科医師会には歯科医療の原点に戻って欲しい。 保険だからと言って医療行為を否定したり拒否したりと言った行為が続くのであれば、保険医を返上するだけではなく歯科医師免許を返上するべきだとさえ思う。
今ここに至っては、歯科医師は歯科の頚木、呪縛を逃れ、医療であることを真摯に問い掛けていただきたい。
ある歯科医師は言う「医療のシームレス化を図るべきだ」と。
まったく同感である。

補綴の価値をめぐって、身内でいがみ合っている状況ではない。 共食いをして何になると言うのだろう。
歯科医師は医療を、技工士は補綴を。
明確に職務を分けること、分けた上で一体となって国民の健康福祉に貢献し、社会保障の礎となる道を明確にするべき時代が来たのだと思う。

みんなの歯科シンポジウムの第一回が来月、6月17日に迫ってきた。
この先、あえて身内の罪や恥を晒し、身軽になって心機一転撒きなおしの始まりとしたい。

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Comments

・補綴は、日本歯科補綴学会という学会が存在し、歯科
医師により運営がなされているごとく、歯科医学の一分野であり、補綴物は歯科医師の発行する指示書に基づいて行われるというのが、原則だ。
・確かに、設計らしい設計が歯科医師によってなされず
して保険のクラウンや義歯が作製されている事例もある
との御批判もお聞きするところであり、批判されて当然
の事例もあろうが、そういう批判をなくすべく、歯科医師は常に自らを律しなければならない。
・我々歯科医師が患者さんに優れた補綴物を提供するためには、優れた技工士さんの技術が不可欠である。
・が、それの障害となっているのは、厚生労働省の低医療費政策である。
・国民医療を守る為、このような貴重な御意見を賜るのは、非常にありがたい事だ。
・国民歯科医療を守る為、歯科医師・技工士さん・衛生士さんが対等な立場で共闘し、政治の場に働きかけていくことは、重要な事だ。その意味で皆歯科に期待している。

Posted by: 某歯科医 | May 27, 2007 at 11:08 PM

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