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November 12, 2007

混合診療は救世主足りえるか

7日の記事にコメントを頂きました。 ありがとうございます。

レスを書きました。 長いですが今の私の想いです。

歯科は国民の生活や健康にとても大事なのだから壊してはならないし、私達、歯科医療業界の存在は価値あることなのだという主張は当然ありましょう。
しかし、これを業界から言っても意味が無いのだと思えます。

良い治療、良い技工をしているのだから言えて当然とはなりません。
そもそもそんな事はやって当然、当たり前の事なんです。
わざわざ自分達から声高に言わねばならないような状況に追い込まれたのも、私達自身にも多大な責任があります。

混合診療の禁止は法律違反という、裁判判決が出ましたが、これが出たから混合診療が解禁されて当然、患者さんの選択肢を奪うべきではないと言う論調が、歯科医療業界側から出てくることが予想されますが、裁判のケースと歯科業界の状況は大きく違います。

それは、歯科は皆保険制度の発足に遡って実質的な混合診療が差額徴収や自費負担の名目で補綴を中心に取り入れられてきたからです。
歯科の言う混合診療は物販と何ら変わりません。 保険で売れないものを売る。 そんな形です。
確かに保険制度の点数ではペイできないような高度高額な技術もございますが、一方で保険点数を大きく割り込む価格で歯科医院に納入されている実費負担分もございます。

某歯科医師さんが再三にわたり保険導入を訴えている白い歯、メタルボンドがそれに当たります。
保険での白いプラスチックの歯は前歯だけの適応ですが平成18年4月の時点で製作点数1200点材料料135点、補綴は13500円になるわけですが、メタルボンドの平均的な技工料金は10000円前後でしょう。 プラスマイナスとも5000円程度の幅がありますが、材料費を入れても15000円くらいが平均的な金額だと思います。
安いものは中国製の4800円や国内ラボでも6000円台で受注する所も存在しますから、現状でも、保険制度の白い歯の給付点数範囲に収まる訳で、では何故保険導入せず、実費負担のままなのかを問われれば、それこそ業界の本音をお答えするしかありません。

同じものではない、まったく違うプロセス、フィソロフィーで行っていると良心的な歯科医師ならお答えする所ですが。

歯科に於ける混合診療解禁と言う意味は、要は現状追認、歯科医療側が後ろめたさをもってやっていることに対し、お墨付きを与えるにすぎません。

内情や医院経営の背景が変わらないのであれば、レスのコメントにも書きましたが、

「何をどう混合するにしても、一度歯科医療業界側が混合を受け入れれば、保険が切り捨てられる事ははっきり予想できます。
国や保険者からは保険制度で行える事は限りなく薄く小さな範囲になるでしょうね。

そして、歯科医療側も保険を限りなく疎んじて、混合とは名ばかり、ほぼ自費診療に流れて行くでしょう。
誰も、お金にならない保険はやらない、客寄せの看板にしかしないだろうと思うわけです。」

そうなる可能性がとても大きいのです。
今でも保険制度での国と保険者の負担は歯科の特殊性からどんどん割合が落ちています。
何の事は無い、全て患者さんの国民の直接負担にしてしまおうと言う流れなだけです。

その様な流れは、医療や医療制度の意味合いから大きく逸脱していると思います。
その流れに荷担する事は歯科にとっては患者さんを敵に回してしまうことでしょう。

まだまだ私達は国民に本当のことを話していない、伝えていないと思います。

歯科業界を壊してしまうのが怖い、歯科保険制度を壊してしまうのが怖いと業界が言うのもおかしなものです。
いろいろ壊してきたのは歯科業界ですし、なによりも歯科医療と患者さんとの信頼を壊してしまっているのですから。

将来どのような歯科医療の未来図を描くにしても、先ず我々が取り組まねばならないことは、現状の歯科医療の姿をピンからキリまですべて情報開示し、掛かるコストや得ている利益を公開し、我々の側に恥ずべきことやモラルの崩壊が存在するのであれば率直に謝罪し襟を正すべきなんです。

私達はまだこれを出したら拙い、これを言ったら怖いと逡巡しています。
本来、診療内容になんの引け目も無く、ピンの範疇に入る人たちでも、保険では出来ないと匙を投げて、差額や自費診療を行っているから、誰にも引けを取らない歯科医療が行えているわけで、保険制度からは懸け離れた世界からものを言っているに過ぎない部分もあります。

キリの方はキリの方で、制度でできることはここまでと投げてしまうのはまだしも、質を落として当然と言う考えになってしまいます。

これでは患者さんは納得できないでしょう。 
全てを公開し、患者さんも歯科医療側も納得できる質の歯科医療を、適正なコストと国、保険者、国民の合意の上で提供できる保険歯科医療制度として再構築する。
そこで初めて、歯科医療業界が再び生きてゆけるようになるのだと思っています。

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