歯科医療の崩壊は何故見えないのでしょうか。その2
巷では大企業の好業績を反映して高額なボーナスがニュースになっています。
一方ではネットカフェ難民や生活保護費以下の低所得者の増加、年金や医療保険の無い国民の増加など、
2極化がはっきりとしてきました。
歯科医療業界に於いても、一部の勝ち組と大多数の負け組(極普通の保険医たちはこちらでしょう)と、先の見えない新規開業組に色分けできるような気がします。
2008年度の診療報酬改定は何年ぶりかでアップ改定となりそうですが、わずか0.3%、消費税分にもならないし昨今の物価アップとも比べ様が無い実質マイナス改定である事に変わりはありません。
このような状況で一部に勝ち組と言える歯科医院が存在できるのも、歯科が保険診療ではなく自費診療で潤う部分が昔から存在したからです。
保険点数や患者さん、国の経済状況からすればありえないような開業ラッシュが起きるのも、保険診療の患者さんを当てこんでの事ではなく、殆どがインプラントなどの自費診療で成功する夢を見ているからでしょう。
極端な話、患者さんたちが歯痛や虫歯で困っていようがそんな事はどうでもいいのです。
インプラントの患者さん、自費の患者さんさえ門前市を成してくれれば、歯科医院はそれでいいわけです。
これは、歯科を医療と捉え、真面目に診療しようとする歯科医師達からすれば、堪えられない現象でしょう。
インプラント治療を医療ではないと否定する気持ちはありません。
問題なのは、それを薦めるまでの過程であり、考え方であり価値観なのです。
インプラントにしろメタルボンドにしろそれは補綴の範疇です。
医療と言うよりも疾病によって失われた機能や審美性を回復させる為のものです。
医療であるならば、先ず優先されるべきは疾病の予防であり、図らずも虫歯などの疾病になったのであれば、歯科医師はその進行を食い止め、歯牙を口腔を保存できるように努めることが使命であります。
日本の医療保険制度と厚生労働省の考える医療は、この使命に対する評価を徹底的に低く且つ削減する方向で進んできました。
それ故、歯科医師や歯科医師会は先ずその低点数低収入を補う為に、政治的に働きかけたり、点数を拾ったり、診療スタッフや関係業界に様々な圧力や負担を押し付ける事で、保険医療制度での歯科のポンジョンを維持してきたのです。
実際、医科とは決別して差額徴収を認めさせ、それが国会問題になれば、自費診療と言う形で実質的な混合診療を行う事で収入を維持してきました。
財政に余裕がある時代は、点数を拾ったりたまさかの自費診療でも充分高収入を謳えるくらいの、患者さんの受診率がありましたが、バブルがはじけて国家の財政も赤字となり、景気も冷えて人口も減少にと向えば、保険診療のパイも歯科医療費もどんどん小さくなり、もはや普通の歯科診療だけではまともな収入が見込めない状態へとなったわけです。
こうなって初めて日本歯科医師会や開業歯科医師たちが切り捨ててきたり負担を押し付けてきた、歯科衛生士や歯科技工士、材料関連の企業に対しても、目を向けざるをえない状況を迎えた訳です。
しかし、日本歯科医師会には明確な自覚や反省の気配は見えません。
福田首相と同じ、空気の読めない人事のような対応を重ねています。
歯科医療者のモラル崩壊が何時から起きていたのか?
昨今の医療費削減だけが理由だとは思えません。
医療保険制度の改定で医科と決別した時、国会喚問に繋がった差額徴収が蔓延した時、歯科衛生士の立場を無視するような助手と言う仕組みを創った時、歯科技工士の夢を尽く潰した時、そこに歯科医師会や歯科医師に医療職としての矜持やモラルは存在したのでしょうか。
コストや医療職の生活や人権を無視した点数や報酬設定と医療制度が、医療者のモラル崩壊を引き起こしているのだと言えますが、これらは簡単には外からは見えません。 見えないからこそ国民も医療者も被害者にも加害者にもなりえるのです。
歯科診療を受けなければ、なんら実害は無いと思うのでしょうが、多くの人が応分の医療保険を負担している訳ですから、歯科医療を受けても受けなくても実害をこうむっているのだと思います。
今又、厳しい経済状況を迎え、ますます医療者のモラル維持が問題となります。
公的な医療保険制度で不正な請求が出来ない仕組みをしっかりと作り、且つそれぞれの医療専門職がモラルを無くし目先の金儲けに狂乱しなくて済むだけのコストに見合った報酬を保障していただきたいと思います。
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Comments
全保険点数において人件費はおろか、材料代すら出ていない現状をなんだと思ってるのか?
どこまで歯科医師を馬鹿にすれば気が済むのか?
すべてまともな保険点数を設定しない厚労省の責任であり、むしろ歯科医師は自分の良心で自腹を切りながら診療している現状がまるでわかっていないだろ。
二度といい加減な記事を書くな。
Posted by: | December 13, 2016 11:49 PM