2008,4月の「平成20年度診療報酬改定」をまたずして。
皆さんは忙しいでしょうか。 保険での補綴物の受注は何の変化もありませんか。
今週になって私のラボでは保険関係の受注は数えるほどしかありません。
キンパラの高騰もありますし、患者さんの受診抑制も続いています。 新規開業の歯科医院に、お得意先の歯科医院が喰われてしまったところもありましょう。
4月の平成20年度診療報酬改定を待たずに、個人営業の歯科技工所はもう持ちこたえられないのではないかと見ています。
http://insite.typepad.jp/shigakuinfo/2008/02/post-0d3f.html
今日の歯科医療危機を打開できない
全国保険医団体連合会の歯科代表 宇佐美 宏氏が 歯科診療報酬で談話を発表しました。
歯科技工士に関わる部分を抜粋します。
「患者の求めや歯科技工を軽視する義歯の製作制限の危険
特徴の第四は、新製義歯指導料と新製義歯調整料を「義歯管理料」に一体化し新設した。1月以内は「新製有床義歯管理料」、2月~3月以内は「有床義歯管理料」、3月以降1年以内を「有床義歯長期管理料」として算定する。現行では6月以内の有床義歯の再製作は禁じられているが、有床義歯長期管理料の新設により再製作の制限を1年に延長されることが危惧される。2年間の補綴物の再製作を禁じた補綴物維持管理料の導入以降、クラウン、ブリッジ等の再製作が急激に抑制された結果、歯科技工所は深刻な経営危機に陥っている。少数歯義歯は僅かに引き上げられたが前装鋳造冠は引き下げられ、この上、義歯新製の期間が延長されるならば、ますます歯科技工所は深刻な状況におかれ、高齢社会での歯科保険医療の根幹が崩壊しかねない。 」
私達歯科技工士は、好きこのんで短期間で壊れてしまうような補綴物を作りたくはありません。
なるべく壊れないように、長持ちするようにと心を砕いています。
しかし、装着される所は生きた人様の口腔内です。
予想外の病変もあります。 想定以上の力が加わる事もあります。
そして、こちらが必要と思う構造や加工が保険診療では認められていない現実があります。
歯科技工士を必要とする疾病や患者さんの存在が、進歩した医療が施された事が理由で減ってゆくのであれば、
私達も専門職として社会の役に立った、もう役割は終わったとエバンスを置く事ができます。
しかし現実はあまりにも違います。
歯科医療を必要としている人たちに、歯科医療を施す事も届ける事も出来なくなっています。
今や歯科医療は高額な医療費を自己負担できる人たちだけのモノとなってきています。
国はどこまでも皆保険制度での歯科医療費を減らすでしょう。 今回の改定や診療報酬の改定も、数字だけ見れば
「歯科診療報酬本体は0.42%の引き上げとしたが、薬価・材料費を1.2%引き下げ、全体では0.82%引き下げ4回連続のマイナス改定となる。」
とあるように実質的にはマイナス改定なのです。
過去3回のマイナス改定も、歯科技工所にしわ寄せが無かった訳ではありません。
2000年の改定から目に見えて保険の補綴ケースが減ってきています。
全体に数が減ってきていましたが、2006年の改定では、ブリッジになるケースが激減しました。
前装冠も暫減しています。
今次改定で補綴で治療が出来るケースでも、様々な条件の壁から適応を躊躇してしまい、結果的に保険診療を忌避する流れが加速するでしょう。
もとより自費志向の高い歯科医院や歯科技工所にはチャンスの到来と期待する向きも多い訳ですが、実質3兆円という歯科医療費の規模の中で、わずか3%に過ぎない自費診療の割合が爆発的に増えるとは思えないのです。
もしも、私の予想が外れ、皆が皆自費診療で我が世の春を謳歌するような状況を迎えたとして、それが果たして真の歯科医療需要なのか、それとも歯科や歯科技工士からの誘発需要で無いかを、検証するべきだと思っています。
医療は需要を生み出すものでは無い。 必要とされたときに必要なだけの医療が誰にも公平に提供されるべきものだと思います。
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