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July 14, 2008

歯科医師は血を流せ!!

今発売中の文芸春秋に「貧困大国ニッポン」と言うNPO法人自立生活サポートセン
ター・もやい
事務局長、湯浅 誠氏の記事が掲載されております。

東京新聞の記事として連載されていた結いの心にも、湯浅氏が出ておりまして、もや
いの事も新聞記事で見ておりました。
それもあって、立ち読みではなく一冊買ってまいりました。

個々の事象は把握していたつもりではありましたが、医療の現場、歯科の現場、介護
福祉の現場で、或いは生活保護など役所の窓口で起きていることをではどう全体像と
して掴むか、纏め上げるか?

考えてみれば、どの立場に居る人も、我が身可愛さが先立つばかりで、理屈を捏ね
データだ正論だと言う割りに、では全体としてどうなのか、真に影響を受けているの
は、負の連鎖の一番の被害者は誰なのか?はたしてこの様な社会状況が日本の国家の
形として正しい事なのか?
そうでは無いというのなら、ではどう言う形に持っていきたいのか?
そう言う問いかけも、ロードマップも、目指すべき目標もない訳です。

マスコミも、この様な記事を散発的に掲載しながら、新聞社などは政府広報の延長で
しか報道しませんし、大人しい日本人は声を上げることすら恥と、耐え忍んでいるか
のようです。

新聞報道などを読みますと、食料品やガソリンなど生活必需品の値上がりも、国民は
仕方がない事と受け入れ、政府の方針や政治家の言葉、官庁の横領や搾取にもただた
だお上のする事だからと従順な羊よろしく従っているような錯覚に陥ります。

それがあるからでしょうか、自民党伊吹幹事長などは、総選挙を任期満了まで先延ば
しすれば、与党はまだ勝てるとマスコミを通じて国民の洗脳に必死な訳です。


その様な作られた情報社会の中で、歯科業界の当事者ですら分かっているようで分
かっていない事がまだあると思っています。

湯浅氏の記事は「気づけない貧困」が足元にという言葉で纏められています。
何を基準に勝ち組と負け組、食える収入と食えない収入を線引きするのか、相対なの
か絶対なのか人それぞれですが、国が削っている社会保障費一兆一千億円カット、社
会保障の自然増から毎年2200億を削ると言う政策は、多分に絶対的な削減であり
それは相対的に誰かよりマシという線引きの位置を、実は少しずつですが、日本全体
の中で貧困や貧窮に落ち込む線引きとしては、国民にそれと悟られる事なく徐々にで
すが広げている、落ち込む国民の枠を広げているのだと言う事でしょう。

中々理解できないことでしょうが、一番問題になるのは、貧困や貧窮に落ちたらはた
してどんな立場の人が、どのシステムがセーフティネットになり、その人を支えるかなのです。
近代国家の中で、一番必要とされるべきが、そういう時に必要とされるセーフティ
ネット、つまり社会保障であるべきなのですが、日本では一番削ってはいけないとこ
ろを、構造改革名目で削っている事が、今の社会の閉塞感、国民市民の絶望感を惹起
している事は否めないと思います。

湯浅氏は「溜め」と言う言葉も言っています。
言ってみればクッションであり余裕であり糊代ですね。
社会保障費を削ると言う事は、溜めを無くしてしまう事です。
削ってはいけない溜めを削り、さらに骨まで削ろうと言うのが今の骨太の方針です。

浮浪者だけが社会の落伍者、貧困者ではない、働いていても食えない、正社員であっ
ても余裕はない、
生活に余裕と言えるようなお金が残らないそう言う貧困層の拡大、もやいのようなN
POの生活相談にも姿を表していない、でも確実に存在する、将来姿を表すであろう
新しい貧困層。
それが「気づけない貧困」だと言うのです。

実はここに来て、歯科医療業界の問題と微妙に重なると感じています。

少なくとも、みな歯科の中では多くの歯科医師も自分はワーキングプアだと自嘲する
でしょう。
しかし、相対的に見ればまだ歯科医師たちは恵まれています。
ある先生のプライバシーが出てしまった際に、歯科医師からも歯科技工士からも反発
が出ましたが、
相対的に見れば、どこが?と思う人が歯科技工士から出るのは仕方がない事でも在り
ます。
例えば私などは国の保険や年金など削れない物以外は、掛け捨ての生命保険と医療保
険にしか入っていません。 払えなくなったからです。

いや生命保険も、とっくに解約して生活費に消えています。
極私的な支払いや生命保険、人件費なども負担でき無い所まで削った上で、もうこれ以上削れ無いと言
うところで生活していれば、物欲など沸いてこない訳です。
設備更新も出来ず、営業に回る事も出来なくなって廃業していく歯科技工士にすれ
ば、最低限の国民負担以外にもそれ相応の経費が払えて、物も買えるうちはワーキン
グプアと言うなんてふざけるなと感じる事でしょう。

では、歯科医師たちがまだマシかと言えば、実は、多くの歯科医師たちのすぐ側まで
来ているのが湯浅氏言う所の「気づけない貧困」でしょう。

普通の歯科医師にしても一度でも支払いが滞れば、後は坂を転げ落ちるように、セー
フティネットも何もなくただの人になる恐れがあります。
元歯科医師であってももう歯科医療を受ける事は出来ない。 今の社会はそんな社会
です。
生活保護すら受けられ無い困窮者層への入り口が、すぐ足元に大きく口を開けている
わけです。
しかもその口は毎年広がって行く。

歯科医療業界の難しい所は、その様な状況に追い込まれていても、まともな事もいえ
ないし、方針の打ち出す事も出来ないで居る、自身の宿悪の大きさです。
ここまで程に、溜めのない社会、余裕や糊代のない社会が来る事など、想像もしなかっ
たのでありましょうが、人間らしい思いやりのような物を、例えば歯科技工士である
とか歯科衛生士に向けていれば、少なくともあんたたちはまだマシだなどという怨嗟
の声を向けられる事もなかったのではないかと思う訳です。

本来共に声を上げるべき仲間を、相対的に敵にしてしまった事が、実は歯科医師とい
う価値を大いに奪ってきた、そんな事が表に出るようになった事が、中曽根時代から
続く社会保障切捨ての成果であるとすれば、何と皮肉なめぐり合わせであることか。

今の格差や貧困は国の政策中曽根時代から小泉構造改革そして今に至る社会保障の切
り捨ての結果なんでしょうが、それによって今まで上で暮らせた大多数の人が落ちて来て,
貧困に目を向けだした、たまたま其処に歯科技工士が居ただけで、歯科業界の問
題が認知されたとか関心が向いた訳じゃ無いのだな。
仮にここまで貧困や格差が広まらず社会がそれなりのままであれば、今も捨て置かれ
たままだったのだろう。
一連の小泉構造改革などは、確かに日本の社会構造をずたずたにしていますが、そう
でなくても、歯科技工士問題は捨て置かれてきた事に変わりは在りません。
社会をここまで壊して初めて目に見えるようになる歯科技工士問題とは、何と形容す
ればよいのでしょうか。 それ程に歯科技工士の怨嗟、怨念は深いのだと思います。

ここまで書いた所で、伝票改竄の話が飛び込んできました。
思いのたけはみな歯科MLに流しました。

正直不正をするなら自分で処理できる範囲で行なって欲しい。
後々歯科技工士に辻褄併せの改竄を要求するなんてなんと身勝手な事か。
やった仕事以上の請求をするような歯科技工所は存在しないと思います。
只でさえ大臣告示も履行されず、そもそも7割をラボが貰っても3割は歯科医院に残
るのでしょう?3割以上を歯科医師は取っているのでしょう?
それでも足りなくて、馬鹿にし足元を見ている歯科技工所に、不正がばれそうになる
と頭を下げるなんて。

歯科医師に、医療職の誇り、プライドを求める事自体が間違いなのでしょうか。
勝手に周りを巻き込まないで欲しい。 やるなら自分だけでやってください。
何時までも歯科技工士がこの問題で口を閉ざしている保障は無いのです。

国に対してモノを言えなくしているのは、歯科医師自身です。
歯科医師自身が血を流して見せなければ、誰も信じてはくれません。
搾取し利用し今また歯科技工士の立場の弱さや制度への無知をいい事に歯科医師だけ
が生き残ろうと言うのも虫が良すぎます。

多分、この歯科医院との付き合いは切れるでしょう。
歯科技工士だって身を律します。 只でさえ仕事が無いこの時期に、一軒もしかする
と2軒や3軒のお得意を失うことになるかもしれないけれど、もう改竄やでっち上げ
の共犯になるのは嫌です。


歯科医師たちがそうやって得てきた診療報酬というものが、減ってきた、立ち行かな
くなってきたとおっしゃられてもまだまだ物欲を満たすだけの余裕はあるわけです。
溜めがなくなったわけでも、余裕や糊代がなくなったわけでもないのです。

少なくとも、私ども生活費も残らない歯科技工士から見れば、或いは本当に行き詰
まった派遣労働者のような人から見れば、まだまだ余裕があり魔法のボールペンも健
在なのが歯科医師です。
本当の意味でワーキングプアや貧困と言う言葉を口にするのであれば、まだまだ甘い
としか言えないです。


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