昭和63年5月30日付厚生省告示第165号の本質は「委託技工料」問題にある。
手元にある、日本歯技第191号紙面。 昭和60年4月20日発行
これに出てくる参議院予算委員会質疑は、国会議事録検索を使えばあっという間。
参議院 予算委員会 - 15号
昭和60年03月27日 から抜粋
○安恒良一君 次に、お年寄りの問題としてちょっと歯科の問題について一、二点大臣に触れたいんですが、お年寄りは非常に歯が傷む、そういうことで歯科問題に非常に関心を持っていますが、歯科における歯科技工士の重要性を認識して、診療報酬の点数表において技工料金を別掲し、適正に評価すべきでないかと思いますが、こういう点についてどう考えますか。
○国務大臣(増岡博之君) 技工士につきましては、その仕事がいろいろございまして、歯科医師がみずから行う場合、あるいは病院、診療所において技工士が行う場合、あるいは歯科技工所、いわゆる技工士の作業所において技工士がみずから行う場合等がございますので、その技工料をどういうふうに評価するかということが技術的に検討を要する問題であり、現在中医協で継続審議になっておるわけでございます。その審議が進むよう努力をいたしたいと思いますけれども、しかしこの問題の解決につきましては、やはり歯科医師会と歯科技工士会とがまずみずからよく御相談いただくことが必要であると思いますので、私といたしましてもできるだけの努力はいたしたいと思っております。
○安恒良一君 次に、歯科医療においてメタルボンド冠、金属床義歯、ポーセレン冠などが広く普及していますが、今実際私費にされています。これだけ普及しておりますから保険適用の方向に踏み切るべきだと思いますが、これについてのお考えを聞かしてください。
○国務大臣(増岡博之君) 御指摘のことにつきましては、広く普及しておることは事実でございますので、これを保険給付とするかどうかということについては中医協で御審議を願う事項でございまして、現在検討項目の一つとして取り上げられておるわけでございます。せっかくの御指摘でもございますので、この点につきましても中医協における検討が進むよう努力してまいりたいと思います。
この増岡大臣答弁も虚しく、日歯は「委託技工料」も歯科技工士問題もまともに対応しなかった。
ある一冊の本もポーズなら、国会や中医協で議案となった「委託技工料」を含めた歯科技工士問題も、表向きの建前とは裏腹に、解決する気など無かったのだ。
それから20年。
今や歯科技工士の存在すら認めようとしない国。
そして、大臣告示と委託技工料の位置付けをけった事で、歯科技工、入れ歯や差し歯と言う国民の大事な分野を失う事になった歯科医師会、歯科医師たち。
騙され打ち捨てられてのは一人歯科技工士だけだったといえるのだろうか?
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