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March 20, 2009

説明不能。 歯科技工士でありながら、説明できない歯科。

お彼岸と言うことで、親戚のおばさんや従妹と話す機会があった。

従妹は昨年に下顎の5番だと思うが単独でインプラントを入れたと、前回会ったときに聞いている。

今日はそのおふくろさんであるおばさんから、入れ歯の事やインプラントについて聞かれた。
入れ歯を外して見せ、この金属はチタンなのかとも聞かれた。
通常、そういうことは医院で言うだろう。

入れ歯を拝見すると、上下ともコバルトクロムの金属床。
まさか、チタンと偽ったとも思えないし、値段やニュースなどから、私のも、もしやチタンかと思っただけでしょう。

上は右の3番4番が残り、4番に頬側のみゴールドワイヤーを組み合わせたコンビネーションクラスプ、
下が4番から3番までと7番は一本残り、前は上と同じくコンビ、7番は通常のエーカース。

仕上げの状態も、ポストダムが少し当たって痛かったとかで修正されている以外は、硬質レジン人口歯の調整も綺麗なもので、ほんとに良く出来た金属床のパーシャルデンチャーだった。

それでもまだ不満はあるようで、娘さんのインプラントに触発されたからか、穴掘って植えるのはどうなのと?


正直、80近い高齢であること、現行の入れ歯に見た目問題は無いことなどから、インプラントをお勧めする言葉は私の口からは出せなかった。

聞けば、今の入れ歯に上下50万を支払ったとの事。

よく出来た入れ歯だし、自分に作れるかと言えば、今のスキルや設備ではとても出来ない。
それでも、ラボとしての売値は幾ら位かは分かるし、正直なところを伝えた。

金属床、コンビネーションクラスプ、配列、仕上げ、金属代。
もろもろ含めて7万から8万と伝えると、やはり驚いた顔をする。

これが、インプラント治療と言うことになれば、50万どころか200万300万コースである。

当然だが、おばさんも従妹も被保険者である。
歯科医院に行けば当然だが保険証を求められる。
そして毎月3万とか4万の国保や健保を払っているのだ。

歯科の治療も保険で受けられるほうがいいのに決まっている。

それなのに何故、松竹梅のコースよろしく、自費とか保険とかやれチタンだゴールドだとなるんだろう。

おばさんや従妹を含めて、国民や患者さんたちには、歯科は高いと言う潜在意識がある。
それはそうだろう。
保険証を出しているのだから、ここまでは保険、ここからは自費だと言われていても、患者さんには一連の歯科医療ということで、保険証を要求される以上は、自費も含めての保険診療だと思っているか、ごっちゃになっていると思う。


歯科の問題は様々にあるが、保険と自費との混在、医療としての治療行為なのか、アメニティとしてのホテツ物の物販なのかが、患者さんや国民には今ひとつ理解できない部分が大きいと思う。

患者さんや国民に、保険と自費の違い、それぞれで使用される材料や、治療内容とホテツの違いを、説明したから分かっているはずだと思うのは、歯科医療者の勝手な思い込みだと私は思う。

というか、今回のようにおばさんや従妹に聞かれても、なにをどう説明すれば、違いや品質や制度の事を分かりやすく説明できるのか、自分自身、理解不能だしうまく出来ないからだ。

保険証があり、提出を求められても、保険治療もそこそこに、何十万何百万の歯科医療というより、高額なモノを勧められる。

じゃあ、モノが高いんでしょうと思えば、実態を知れば、モノとしての価格は十分の一、いや中国製ならもっと安いわけで、ならば、歯科医師の直接の治療行為が高額なんでしょうと思えば、実はそこまでの治療は保険で終わっていたりするのだ。

私は自費はMBと、たまに金属床をやるくらい。

材料屋さんやメーカーがいろいろ持ってくる、様々な新製品、インプラントやアタッチメントやジルコニアや。
そういうものを、自分から歯科医院にセールスした事は無い。

その為か、みな歯科の先生などから、売り物はありますか?と聞かれても、実際何も無くて立ち往生してしまうのだ。


気がついたら、歯科医療の内実は実は何も変わっていなかったのだ。
いや、変わっていると言うべきなのか。
日々新製品が出て、患者さんの知識にもそれらが刷り込まれているようだが、実は皆保険制度とは、日本の誇る医療保険制度とはまったく関係もなく、収載も無く、それでいて歯科医療は進歩しよくなっているように思わされる。


国民にとって、歯科医療の進歩や発展とはどういうことだろう。
日々受けられる歯科医療、保険診療での歯科治療こそが進歩し発展し、負担した国保や健保のリターンになってほしいはずだ。

しかし、歯科医師会も歯科医院も本当のところは黙ったままだ。

ある歯科医師は言う。

「自費であればお金に糸目をつけずに、持てる知識と技術とをつぎ込んでやりますよ」と。

では、国保や健保の保険治療はなんなのだ?
手抜き?価格相応? どうでもいい?


比較するとかはなるべくしたくは無いが、医科で診療報酬が低いとか点数が安いからと言って、価格相応だとか、松竹梅の対応をすれば、命の軽重をランク付けするのかとかなるし、実際に亡くなる人だってあるだろう。

インプラント治療では、今も年間7千件くらいの事故や失敗症例が起きているそうだ。
単一症例でこれだけの失敗例が医科にあれば、大問題になっているのではないだろうか?

歯科はなぜそれが問題にもならず、診療内容や治療行為に公然と差やランク付けをする事を許すのだろうか?

歯科技工士の私も、医療医療と言っていますが、実際のところ歯科医師たちを非難できる立場にない事は、否定し得ない事実だと思っています。

思うに、歯科業界の行動原理、判断基準は歯科が持つ特有のコンプレックスにある。

訴訟に関わり、歯科医療とは何かを繰り返し考えるにつけ、プライドや資格の持つ意味を、金でそれもわずかばかりの報酬で、売り飛ばしてきたのは我々歯科技工士だ。


歯科医師や歯科医師会が、医師や医師会への対抗心、コンプレックスを払拭するために、政治で言えば票を嵩上げし、闇ルートを使ってまで政治献金の額を積み上げて、さも歯科医師会には存在感、政治力があるのだと虚勢をはって見せたのも、コンプレックスの裏返しであり、お金でしか歯科医師と言うプライドを買えない悲しい事実の証明みたいなもの。

そして中西が率いる日本歯科技工士会も、歯科医師や歯科医師会への対抗心とコンプレックスから抜け出せず、歯科医師会の真似事をして国会議員になれば歯科技工士ならぬ技工助手になれるとか、ホテツを医療から外せると、歯科医師から剥がし取れると思い込んでいる。

普通の歯科医師たちも、昔はやれゴルフだリゾートクラブの会員権だ、ベンツBMW、ポルシェと買って、金無垢のロレックスに毛皮のコート、ブランドのバック。

現に、医院の前に高級車を並べないと、患者から信用されないんだよと真顔で言う(昨年言われた)。

医療の質や、患者さんの治療実績、医科で言えばたとえば癌の5年生存率とかの評価じゃなく、見栄の象徴が歯科の評価だなんて、何を勘違いしているんだか。
その原資が、歯科技工士の搾取によるとか、製作点数以下の技工料金に依存しているとか、広義の不正請求の賜物だなんて言えないわね。

だけど、今みたいに景気も悪く、国民が必要最低限のものにしかお金を出さなくなってくれば、不正や数や見栄で食ってきたところは、実際に料金の安さが直撃する。
お金でプライドを維持することはもはや出来ない。


コンプレックスを払拭させるために、お金で買ったプライド。

歯科の業界の体質を一言で言えばそういう事だろう。
実際の医療の質を知っている者たちであれば、特に、歯科技工士であれば、これが何で請求を通るの?10万20万になるの?と思わない日は無いだろう。
しかしそれが国民には分からないのを良い事に、適当に作り倒し、価格相応と目をつぶり、おこぼれに預かってきたのも間違いなく私ら歯科技工士だ。


もうお金ではプライドは買えない。 コンプレックスも払拭できない。

歯科医師も歯科技工士もそこに気づくべきだ。


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