10年先が読めるのだったら。
私立歯科大学協議会が毎日新聞に全面広告を打ったのだそうだ。
私歯大協、歯科医の生活苦を訴える意見広告(毎日新聞朝刊2009.7.28.)
ここに来て学生が集まらず、歯科大学も廃校や閉鎖の危機に直面し、背に腹は変えられないとなったのだろうか。
その中で面白いのは、6年後から歯科医師が減り、9万7000人いる歯科医師が10年後には7万人に減ってしまうから困るだろうと言うくだりである。
ふーん、今後6年間に増えることは無いのか?今の在学生が順調に卒業し、国家試験による足切があるにしろ毎年1500人から2000人は歯科医師が増えると思うから、
最低でも9千人は増えちゃうのだと思うけどな。
それとも、6年間で9000人の現役歯科医師が消えちゃうって言うことかな。
消える事にされている歯科医師の皆さんがかわいそうだよ。
それでも増えるのと同数だから年間1500人だわ。 それがその先4年間で、え?2万7000人減るの?
年間6750人だわ。 すげえ。
しかしなんか変だ・・・
これはもう自然減と言うより、殺戮、殲滅ですよ。 それを私立歯科大学協議会が予想していると言うわけだ。
現役歯科医師たちの感想としては、そんなの私歯大協の自業自得だと言う意見が大半ですが、
そりゃ当然でしょう。
入学させるまではどんなできの悪い生徒でも蝶よ花よとおだて上げ、入ってからはじしょもひけない子供らを、たった6年間で学士さまに育て上げ、
とりあえず国家試験に受かりそうなら卒業させてしまう。
しかし、国家試験の合格保障は無い。
それが合格率42%とやらの見事な成果となって、流石に高校生たちも学習する。 じしょがひけなくても携帯くらいいじれるもんねえ。
少なくとも、歯科業界の現状や、歯科大卒業生の動向を調べているだろう、進学希望の高校生やその親たちからすれば、
言われるようなバラ色の進路があるなら、じゃあなぜ9万7000人が7万人になっちゃうの?、
そも6年後にも同じ条件だといえるのと思ってしまうだろう。
笑えるのは、6年後或いは10年後の歯医者さんの予想が出来るなら、今現在、とっくに壊滅している、
歯科技工士の状況を、10年前に予想できなかったのかと言うこと。
そんなんとっくに予想されているんですけどねえ。 私歯大協のみなさんも、日本歯科医師会の皆さんも、
歯科技工士問題は見てみぬ振り、逆に叩く事しかしてないんですねえ。
ま、歯科技工士問題は今まさに高齢化に直面している50代以上の団塊世代の歯科技工士自身が、
目先の利ばかり追いかけて、大きな歯科技工士としての利をほっぽり出してきた事にも大きな理由と言うか責任があるわけで、
それについては言い訳など出来ないと思っています。
とにかく、歯科医師に先立つ事10年。 歯科技工士の自滅は現実となりました。
毎日新聞に掲載された私歯大協の広告が吉と出て、私立歯科大学の入学者がちょっぴり増加に向かっても、
案外、現役歯科医師の殺戮や殲滅は進んでおらず、卒業生が向かうのは更なる弱肉強食の世界だったりしてね。
蛇足ながら、歯科技工士の増加は先ずありえません。 ただでさえ単価が低いところに、
補綴需要も激減していますから、保険補綴を地道に受ける個人ラボは6年後を待たずに激減しているでしょう。
大手といえども、新卒補充もままなりませんから、技工助手に期待するしかありませんね。
なにかあっと驚く提案が出てくるのかもしれませんが、残念ながら殆どの現役歯科技工士にはそのような話のはの字にも関わっていないのです。
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Comments
当たり!
不思議なのは、既得権を持ったまま、それを利権として行使出来る対象が滅びるのをまるで他人事の様に見ている事…
これは全く理解出来ない…
どんなに考えても理解出来ない…
Posted by: 露地者 | August 07, 2009 12:36 AM
そりゃ、何らかの手当てがあるんでしょう。
でなきゃ、ただの集団自殺ですよ。
でも、今更だけど歯科技工士が心配したり同情したりする必要はないかも。
大体、自分たちの生活も守れない歯科技工士に、人を思いやる余裕はないでしょう。
Posted by: G3 | August 21, 2009 04:16 PM