不正請求の基準は必要悪で説明できるのかな?
例えば技官が独自解釈したり、こっちの技官は良いと言うのに、あっちの技官は駄目だと言うような、存在しないルールによって不正とされる部分は除き、やっていない以上は算定の用件を最初から満たしていないにもかかわらず、請求がまかり通っているラバーダムや、衛生士が存在しなかったり、衛生士に請求だけさせて実際には歯科助手にさせているような、あるいはスケーリングやSRPをやっていないのに点数を取るような事は、これは明らかな不正請求と呼べます。
これが件数的に、また金額的にどのくらいになるのかわかりませんが、多くの保険医が低点数を理由に必要悪だと言って改善を図らず、放置し続けていけば、このような明らかに不正と言えるようなものは、歯科医師を淘汰、あるいは間引くための良い口実になるものと思います。
この10年間、歯科医療費が2兆5千億円前後で固定されており、過去4年間にいたっては2200億円の医療費削減のスケープゴートにされてきた歯科医療費です。それでありながら、2年毎の改定では確かに上がる部分もあったりしたわけです。 しかし、その財源は元より無く、むしろ減らされていたわけですから、上がったと言えるのも実際には点数の付け替えに過ぎず、また、金パラなどの高騰に対して多少の応対がされたと言うに過ぎないわけですから、皆保険制度での歯科医院経営はデッドラインのままです。
お上が点数の付け替え程度の改定で、医療費を改善したと言い張れば、現場の歯科医師たちはどう対応してきたのでしょうか。
消えた銀歯の謎も、実はここいらへんに理由が存在するのではないかと。
歯科医療の現場としてはやったことに対して点数が設定されていない事や、逆ザヤである事などから、その対策として、お上に対抗するかのごとく、やって無くてもとりあえずやったことにして算定できる項目があれば請求する形で、点数を付け替える事が当然の生きる知恵としているわけでしょう。歯科医師会というのはそういうノウハウを伝達する組織でもあるわけです。
しかし、この請求モデルにも限界があります。
金パラの実勢価格が安く、材料差益が存在するうちは、虫歯と言うものはなんでも銀歯でやってしまえば、数を頼りに歯科技工士に最低限の技工料金を支払った残りであっても利益は計上できていました。ところが完全に逆ザヤとなってしまえば、そしてそこに加えて患者数の減少や虫歯も減ってきたとあっては、元より歯科医師自身が技工作業全部を行っても利益など出ない現実が重くのしかかり、不利益なものは治療として選択しない流れになっていくわけです。
その延長線上に、例えば院内ラボで皆保険の銀歯や差し歯を専門に作製してきた歯科技工士が給料の減額や退職要求されるわけです。
結果的にこれは日本人の口の中を見れば、銀歯だらけだと言うような事がこれから減っていくようにも思えます。 銀歯に変わりうるホテツ物が皆保険に収載されていれば、そしてそれが多少なりとも歯科医院に点数や利益を落とすものであれば尚良いわけですが、今のところこれと言ったものは存在しません。
そこに、良心的な歯科医師たちの苦悩も存在します。
銀歯の選択は必要最低限に抑え、変わってチェアサイドで歯科医師自身の手技で最終ホテツまで行える、レジン充填が選択されるようになって来てはいます。
歯科医師たちや歯科医師会というものは、これまでの懲罰的改定に怒りの声は上げますが、では何故懲罰がなされるかについては、一切言及しません。確かに技官たちの恣意的なルール乱用や、歯科医師の治療上の裁量権や治療行為そのものとは懸け離れた医療ではないレセプトと言うルールだ、請求のためのルールだとしか言いようの無い皆保険の点数制度を、日常の診療行為に当てはめる事には限界があるのでしょうが、それに流され尚且つ最大限に利用してきたのもまた歯科医師であり歯科医師会であります。
政治力でそれをゆがめようとしたり、必要悪と言う解釈で意図的な付け替えや架空請求を繰り返してきたのも歯科医師であり歯科医師会です。
それに対して何一つ反省の言葉も、組織的な改善への対応もなされていません。出てくるのは懲罰への恨みそれのみです。
患者である国民や、国が求めているのは懲罰に対する恨みつらみの声をあげる事や、必要悪を当然の権利と声高に主張し、保険で駄目ならより目先の金になる安易な自費や混合診療への転換では無いと思います。
そこに現場が気がつかないことには、歯科医療や皆保険制度の将来に希望などありません。
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