ダブって見える歯科技工所の設備構造基準。
結局のところ、歯科医療業界と言うものは、歯科医師でいえば、歯科医院の乱立で、インプラントなどめちゃくちゃになっている現状を見れば、資格があるからすべてOKよりも、定期的なチェック、立ち入り検査などはあってしかるべきであろうと思いますし、歯科技工士にしても収入があまりにも低いものだから、そして利益率も業をなせないほど低いものだから、人を犠牲にする構造になりそれがまた、細分化してきたわけで、ラボの構造が問題と言うわけじゃないですよ。
保健行政の見地から言えば、歯科技工所の設備構造基準はむしろ遅きに失したと言えます。
そしてこれは、日技が言うように海外委託対策でも何でもなく、また歯科技工士と言う資格とも、こちらが思うような関係ではなく、ましてや待遇や収入、就労関係などには一切関係なく、歯科医療や歯科技工を行う基盤としての箱を設備をどう規定するかと言う意味では当然のことでしょう。
正直言って歯科技工士は資格に甘え、資格に守られ、そして資格を過大に捉えてきたと思います。
加藤さん、ブログで書いてくれていますが、設備構造基準は日技は説明責任を果たしていませんよ。 訴訟や海外委託と絡めるのは誤解を生むだけです。
多くの終わった歯科技工士はその違いに気づいていないか錯覚させられているような気がします。
歯科技工士の存在や歯科技工士法にしても、ただ単独で存在するわけではなく、広く社会生活の規範として存在するわけです。
憲法25条
1.すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2.国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
厚生労働省の業務はまさにこれを実現するためにあると言っていいわけですし、その管轄下にある歯科医療や歯科技工士の存在も、法体系で言えば衛生法規の中の存在です。
であるから、私たちの存在は保健所の管理下にあるわけです。
歯科は医療だからと何やら特権的にふんぞり返っているところが、組織や有資格者にはありますが、その前にもっと国民の安心安全を考えろ、立場を考えろと言う事を多分、厚生労働省や国は思っているでしょう。
今のところ歯科技工物そのものの致命的な問題から、国民に死者は出ていませんが、もしも、死者や事故が多発していれば、当然ながら国は対策をとります。
O-157やBSEの騒動が起きれば、医療機関も対策に翻弄されますが、それ以前に感染やウイルスの混入を防ぐと言う意味で、水際で防止すると言う措置もとられますが、衛生的な社会環境であるのかが担保されます。
衣食住、そして医療と言うものが国民の安心安全な社会生活を守る上で重要なのは当然ですし、それを歯科医療の面から支えるために歯科技工士法があると考えるべきなんでしょう。
歯科技工所の設備構造基準にしても、歯科技工士の資格だけでは担保できない、公衆衛生の観点から、当たり前にきちんとした設備、衛生的な環境を整えればよいのだと思っています。
ではなぜこの当たり前な事柄を、日技は普通に歯科技工士に伝えないのだろう?
情報提供を会員と非会員とで差別する意味はどこにあるのだろう。
同じ厚生労働省の業務で医療とも関係していますが、食の面での公衆衛生を担保する存在として、食品衛生があります。
法的にも食品衛生法があり、各都道府県には関連法として食品衛生法に基づく営業の施設基準等に関する条例と言うのがあるはずです。
神奈川県の場合は食品衛生法に基づき、保健所と密接にかかわって神奈川県食品衛生協会が機能しています。
一定の資格を持つ食品衛生監視員ですが、これは何も保健所の職員だけではなく、任意団体である食品衛生協会の職員や会員がその資格を取ると言うことだと思います。
実際、講習をやっているのも協会ですし、開業や申請の窓口も協会です。
普通にスナックやケーキ屋さんをやっている商工会の仲間たちが司会やって受付やっているわけです。
厚生労働省は歯科技工物の安全性を担保する上では、食品衛生での方法を念頭に置いているのかもしれません。
特に食中毒やウイルスの問題では、食品の安全安心、衛生環境を守る意味から、NASAで開発されたHACCPシステムを導入して行くと言う事ですから、お口の中に入れられるものとして食品と同様の安全性が求められる、歯科技工物の技工作業環境にしてもそうなっていく可能性はあります。
トレーサビリティーにしても同じ概念でしょう。
歯科技工士の資格があるから、安心安全だと言う説明はもう通用しません。
私たちがほんとに歯科技工士法に基づいて安心安全な歯科技工物を作製していますと、証明する責任や義務が私たちにはある!と言う事なんです。
問題の本質は、それを証明していくには、場合によっては構造の改善などの経済的な実質負担も発生しますが、大変な事務的負担とルーティンワークが発生すると言う事でしょう。
しかも目に見える、見えない負担に対してコストがかかり、それが永続的に発生すると言う事です。
歯科技工所がどんどん細分化してきたのも、歯科技工が低料金に設定され、利益率など勘案されていないことにも大きな理由があるのですが、その根本的な問題には目を向けないままに、中西会長に言わせれば「計算していない」ままに法や条例として確定されてしまえば、一番に影響を被るのは大多数を占める一人ラボや多くても数人の零細ラボであろうと言う事でしょう。
日技はこの関係を知っているんでしょうねえ。
コスト計算はしていないけれど、自分たちの立ち位置はどこか得られそうかとか、歯科技工が企業として存在していくにはどうすればいいかとか、当然計算していると思いますよ。
いや、この場合算盤を弾くというより、絵を描いていると言うべきかなあ。
悪いことではないですが、公明正大にやってほしいし、やるならやるでどういう事になるかを開示するべきだし、これで料金問題や離職問題、海外委託問題も解決するかのような言い回し、説明は不誠実だと思いますね。
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