歯科技工所の設備構造基準は、やっとこ時代に追い付いただけ・・・
考察してみるに、歯科技工所の設備構造基準は、形だけはやっとこ時代に追い付いただけだと思う。
むしろ、根源的な問題は改善もされていないし放置されているままだ。
歯科技工士の皆保険制度との位置づけ、診療報酬における委託の意味と委託技工料金の問題、歯科における混合診療の問題と、歯科技工の関わり、需給問題も、資格は持っていながら就労しない何万人もの歯科技工士の存在、歯科技工所の労働法を無視した就労環境や給与についての問題。
そして何よりも大きな問題は、歯科医師との関係、歯科医師法と歯科技工士法とのすり合わせの問題、歯科医師の裁量権と歯科技工士の関係が解決されていないことである。
海外委託以外にも、歯科技工士には現実に働くべき仕事が無いと言う問題もこれから出てくる、いや、今もそうなっている。
設備構造基準や技工録が法制化されれば、それらが解決するなどと本気で信じているなら、そりゃアホだ。
今だって守られていること、守って当然の事が、明文化されたに過ぎない。
むしろ、この設備構造基準や技工録の法制化は、これまでは実質的には機能していなかった、歯科技工士法第24条や25条そして27条を厳密に執行するためだと言ってよい。
旧来の資格者に備わっているであろうモラルや自主規制だけでは、もはや歯科技工の安心安全は守れないと、お上は見限ったのである。
そしてもうひとつ、保健所には新たな役割と権限への明確な裏付けを与え、合わせて新たな管理機関、監視制度を制定することで、形式的な安心安全の担保を作ると言う事であろう。
歯科技工士法はもっぱら資格や歯科技工士と言う人間そのものを縛るもので、作製される歯科技工物や、作製される場所、工程、システムについては歯科技工士のモラルに委ねられてきたとも言える。
それらが明文化され外から見ても分かるように環境整備されるのは歓迎すべきだが、作製環境の問題や工程管理システムがいくら整備されても、先にあげたような諸問題が放置されたままであれば、歯科技工士の問題は解決しないことだろう。
施設基準等の条例が制定されることになれば、それを証明することのコストははっきり条文に入れられ、細かく徴収されるだろうし、管理し徴収するためのシステムを維持する費用も、我々からの持ち出しとなるのであろう。
そのコストを負担できて、システムを維持できる業者だけが、この先歯科技工を業として営むことができるのだろう。
今後歯科技工士免許は開業の必須条件とはならない形になっていくのではないか。
日技がそのことを厚生労働省と協議した上で、法制化や制度改定をやろうとしているとしたら、それは誰のためであるかは言うまでもないことだろう。
国民の為でもないし歯科医療の為でもない、当然だが歯科技工士と言う資格者の為でもない。
日技について加藤さんは自身のブログで「会ありて技工士無し」と看破されているが、付け加えるならば、
会の背景にある業者ありて技工士無しとでも表現すればご理解いただけるだろうか。
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