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October 09, 2009

歯科技工士法 その位置づけは?規制するものは?

前記事の続きです。

歯科技工士法についてまともに向き合っていますか?
国家資格を取ってしまえば、後は技工をするだけですか?

私たちは社会的な責任や義務を、忘れたり勘違いしていやしないか。

設備構造基準と言うが、では歯科技工所の設備について歯科技工士法にどのような記述があるのか?そも気づいているのか。

歯科技工所の設備について、歯科技工士法になにかあるとすれば、第5章歯科技工所の中にであろう。
検索して読んでみてほしい。

第21条から第27条までである。
何と言えばいいのか、歯科技工所の開設や広告の制限などについての条文ばかりで、設備構造については第24条で「歯科技工所の構造設備が不完全であつて」とか第27条で「構造設備若しくは指示書その他の帳簿書類」の一文があるだけで、具体的にどういう構造である必要があるのかは何も触れていない。
指示書もそうだが、歯科技工士法での歯科技工所とは、法案作成時に、これこれの要件を満たしなさいと言うことではなく、手続きについて適当に触れただけのものであったとしか思えない。

当然ながら歯科技工士法は歯科技工士と言う資格者を縛るものであって、箱(設備等)を縛るものではないからそれで充分だったのだろう。

そして歯科技工士として技工をすれば当然必要な機材は揃えなければ仕事にならない。
箱も中身も当たり前だが技工士なら必要なものは揃えるだろう。

では、なぜ箱に法の網を被せるのか。

実はこの網を被せると言う表現は誤解を生む。
網を被せるのではない、明確ではなかった歯科技工所と言う箱を、はっきりとさせるだけの事である。
歯科技工士法第5章では箱の開設については歯科技工士の有資格者でなければならないと言う制限もない事がおわかりだろうか。
必要なのはその歯科技工所には有資格者である「管理者」を置けと言っているのだ。

歯科技工士法が歯科技工所について条文で触れているのは本当に表面的なことでしかない。
当時はそれでよかったのだろう。

有資格者である「管理者」は何をどう管理しろと言うのだろうか。

それは第23条に記されている。

(管理者の業務)第23条 歯科技工所の管理者は、その歯科技工所に勤務する歯科技工士その他の従業者を監督し、その業務遂行に欠けるところがないように必要な注意をしなければならない。

おわかりだろうか、具体的に歯科技工所が備えるべき条件については何の説明も付記もない。

歯科技工士法に事細かに書かれていなくとも、歯科技工士であれば仕事をする上で何が必要かそれくらい経験的にわかっていくものだ。

第一場所や設備や機材が無ければ仕事にならないじゃないか・・・・

歯科技工所の設備構造基準


別表1 常備すべき設備及び器具等
防音装置、防火装置、消火器、照明設備、空調設備、給排水設備、石膏トラップ、空気清
浄機、換気扇、技工用実体顕微鏡(マイクロスコープ)、電気掃除機、分別ダストボック
ス、防塵用マスク、模型整理棚、書籍棚、救急箱、吸塵装置(室外排気が望ましい)、歯
科技工用作業台、材料保管棚(保管庫)、薬品保管庫、歯科技工に関する書籍、その他必
要な設備及び器具、計測用機器(技工用ノギス・計量カップ・タイマー・メージャーリン
グディバイス・メスシリンダー・温度計等)

自分のラボに当てはめてみれば、救急箱と薬品保管庫が足りていないか条件違いと指摘されるかだろう。
薬品保管庫が備えるべき要件については、このファイルにも記載がない。
私の場合、薬品は押入れケースのようなプラスチックケースに収めて、シンクの戸棚に入れている。
冷暗所保管が必要なものは冷蔵庫に。

救急箱は無いが、バンドエイドはあるぞ。 

防音装置が必要なのは例えばマンションやアパートの場合だろうか?
ラボだけが独立した建物である私の場合は騒音で外部に迷惑を及ぼしてはいない。

歯科技工所の設備構造基準。

本当の目的は、実はこれまでおざなりにされてきた、第24条第25条第27条に実効性を持たせ、形としての歯科技工所への強化と、その仕組みを確立することなのだと思う。

そしてその条件さえ満たせば、海外委託や再委託はすでに合法とされているし、技工助手にしても第23条にある「その他の従業者」を示しているのだとしてしまえば、新たに立法化することもなく、通知通達での解釈で認めてしまいそうだ・・・・・


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