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November 30, 2010

歯科技工所の設備構造基準はどこから出たのか?

当ブログでもたびたび取り上げてきた、歯科技工所の設備構造基準や歯科技工録のお話。

先日も、県技会長さんのツイッターで、伝達講習についての内容で、お叱りを食らった。
非会員が何を言うかと言う気持ちもわかる、会員が頑張ってやってきた事に茶々を入れるなと言いたい気持ちもわかる。

しかし、何か引っかかるものがずっとあった。

そもそも、この設備構造基準とはいったいどこから出てきたものなのか?

厚労省の17年度通達で、あたかも厚労省が作った法案であり、規制なのだと思い込んでいたが、保団連の宇佐美歯科代表と脇本原告団代表が先月に厚労省の歯科技官と懇談した際に、

一つお尋ね致します。
平成17年3月、厚生労働省医政局長通知により『歯科技工所の構造設備基準及び歯科補てつ物等の作成等及び品質管理指針』が発出され、(社)日本歯科技工士会では当時、向こう三年後あたりには法制化されるという触れ込みで、各県技で盛んに普及活動を展開してきたようです。
ある熱心な歯科技工所管理者が、通知内容の通り準備を整え、法制化を今や遅しと待ち望んでいて、日技のしかるべく担当者に電話連絡したところ、「私見ではあるがと前置きがあって、厚生労働省は海外委託裁判係争中のため、多忙を極め、手間取りこの件の法制化が延びているのではないか」と言うことだったようですが、事の真実をお知らせ下さい。
 
回答
「お答えになった日技の役員の方はどんな積もりかは分かりませんが、この件は歯科技工の海外委託裁判とは一切関わりはありません。
ただ、近々の日技実態調査での実態が、「法制化」するまで熟していないということです。」


以上のようなやり取りがあったと言う。

一見すると厚労省が発案し起草した法案なのかと思ってしまうが、果たしてそうなのか。

実はそんな事はないのである。
設備構造基準も技工録も元はと言えば日本歯科技工士会が持ち出したものである。

県技会長さんに、外野からごちゃごちゃ言うなと怒られても、そもそも、それって国民の総意でも患者さんの総意でも、ましてや歯科技工士の総意でも無い訳で、ある人から頂いたコメントをここに紹介しておきたい。

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歯科技工士法に従って就業し生活している
業界で働く人は3万5千人。
国家資格を持った人たちは平等の権利と義務がある。

このうち、日本歯科技工士会に所属する人は、35%、
残りの過半数以上65%が所属していない。

技工士会に所属する事が歯科技工法で定めいないし、
厚生労働省からもそのような要請や指導があったことを、
聞いたことがない。

わずか35%の人たちの団体が、
あたかも国の行政機関の一部であるかのような振る舞いや、
法的問題に格上げしての推測による運動は、
業界への影響が大きい。

厚生労働省の言う、実態が熟していないという事は、
仮に、日技会員全員が、この基準を守ったとしても、
大多数の65%が漏れてしまう。
このような業界状態で、法制化は無理。

また、仮に法制化ができたとしても、
現業技工所に設備構造改善を強要する法的理由はなりたたない。
生活権が優先するから、特例を設けるのが常道だ。
すなわち、ほとんどの技工所が特例になり、
骨抜きの法制化になりうる。
このようなばかばかしい法律を国が作る訳もない。

設備構造基準について、日技は『厚生労働省と緊密な協議をしている』
と言っていたが、そのような事はなく、
今回の厚生労働省の答弁で、日技との食い違いがはっきりした。

設備構造基準の改良工事にかかる投資。
手間のかかる各種の書類記録。
法制化されていない現在では、業界へ大きな影響がある。

業界全体の混乱を防ぎ、無駄な労力をさけ、効率の良い技工料発展のため、
我々は親切心から各位にアドバイスをしている。
日技に喧嘩を売っているのではない。
日技の情報がすべてではなく、必ずしも正しくはない事、
業界人全体に、真実を知らせているのだ。
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まったくだと思う。
これに付け加えておくとすれば、歯科技工士を止めてしまい、資格だけは持っている人が10万人前後は居るだろうと言う事。
とすれば、組織率は35%とか言うけれど、実際には1割にも満たない事だとも言える。
日技の更にほんの一握りの人たちだけが、業界のコンセンサスを形成している訳ではないのだ。
その考えだけが、厚労省を通して法案となってしまう訳でもないし、通知通達で効力を発揮する訳でもないのである。

出所が日技と分かった所で、設備構造基準が果たして公正公平なものだと言えるのかと言う疑問が付きまとう。

県技会長のように、日技組織や執行部を性善説で見られるなら良いけれど、そうも言っていられないと言う人は多いだろう。

これだけの年月、これだけの労力をかけて、国民の利だけを本音で言って出来る訳がないのである。

そもそも、技工士会に限らず、歯科医師会やその他業種の業界団体がお上に働きかけて何かの法案や制度を設けると言う事には、必ず何らかの利権や見返り、業権構造が存在した。

本音と建前の使い分けなんて、誰もが知っている事である。

ホテツや技工分野で言えば、今でも問題になっている熱可塑性レジンの御先祖とも言うべきスルフォン床の保険導入に際しても、以前にも伝えたと思うが、小暮山人と言う人が、田中角栄氏の影響力を利用して国会議員にまでなった上で厚生省に無理やり導入させたと言うのが真相であろうし、それは、良いものだから患者さんの為だからと言うより、その機械を売れば小暮の経営するメーカーが儲かるからだと言うだけの理由だったのだと思う。

当時、小暮の経営する技工士学校が学校とは名ばかりの、歯科技工学生と言う無資格者に技工をさせる仕組みだったと言う事を、卒業生から聞いたし、スルフォンの抽出成型機が、認可前だと言うのに学校にごろごろしていていたのを見ていたと言う証言を聞いている。

それのどこが設備構造基準とリンクするのかと言えば、リンクと言うより、背景なのである。

末端である歯科医院や歯科技工所は、もはや新規機材をメーカーサイドが望むように導入するだけの体力を失っている。 
歯科医療と言う医療のベールを掛けた厚化粧の市場も、さすがに枯渇してきている。

普通の営業努力では、日本に市場は無いのだろうし、中国のラボのような大型化や機械化は望むべくもない。

ならば、これまでと同様に厚労省の影響力を利用して、機材の更新や新規導入を促進させるような制度を作るしかない。

それが、歯科技工所や歯科医院の新たな設備構造基準の背景に組み込まれていると思うのである。

車や家電製品には、減税やエコポイントで、大きな官製需要が生まれた事は皆さんご存知だろう。
あわててエコカーや薄型TVに飛びついた人も多いと思う。
そしてデジタル化と。

まだまだ使えるものを壊してまで入れ替えたとして、何がエコなのかさっぱりわからない。
エコだと言うのも、地球温暖化を防ぐためだとか言うけど、実際は二酸化炭素の量よりも、太陽からの熱量こそが温暖化やこれから来るであろう氷河期を引き起こす理由なのであって、二酸化炭素の量は温暖化やエコとは全く関係ないと言うのが真相らしい。

良い事だ、良いものだと言う前触れには、必ず何らかの本音が隠されていると言う事を、私たちは知るべきだろうし、国やメーカーの言葉に踊らされないようにしたいものだ。

日技と設備構造基準の問題に話を戻して、日技執行部にはメーカーと繋がりの深い人物や、企業役員を兼務していたり、商品開発に携わって居る人もいると思う。
これらの関係が、設備構造基準の発案や起草の段階から影響がない訳がないのである。

これらの法案が現実に制度として発布されれば、当然だが色々な意味で新規需要を引き起こす。
機械の更新もあれば、技工録ソフトの新規販売もある。印刷需要も引き起こされる。

小さいラボが淘汰されて、資本の集積と大型ラボに再編されれば、中国並みに大型で高額な機材も認可させ販売させる事も出来る。
実態は何年も前の型遅れで、融通が効かなくともね。
日本の歯科業界値段で他国の何倍もの値段と言う事になり、旧在庫を一掃できると言うものだ。


日本の歯科技工が、いつまでも古いままの手仕事で良いとは、私にしても思っていない。
需要があり資金的にも導入できるものであれば、扱ってみたいと思う気持ちもある。

しかし、日本の歯科技工と歯科技工士法とは、有資格者たる我々歯科技工士が、ホテツ物を生みだす、まさに機材そのものだったのである。

機材だから消耗品として捉え、利益を生み出しさえすれば良しとしてきたのが、歯科業界の本質であり、業界を主導してきた一握りの人たちの考えだろう。
彼らの思惑通りに、利益を献上できない技工士達は消えてゆく。
歯科技工士法も骨抜きにされ、もはや最後の仕上げとなるばかりだったのだろう。

歯科は医療と言う着飾った言葉の下に、あらゆる人間の欲と煩悩が蠢いている。
そのベールや化粧も既にはがれかけている事を、私たちは受け入れるべき時だと思う。

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