« エリート主義経済学と真正大衆国家日本の役割 | Main | シリーズ小沢一郎論―9  岡田幹事長を憐れむ小沢一郎の目線 »

December 15, 2010

行き着くところは、タダ? 止まらない技工料金ダンピング。

関西と都内のラボの期間限定キャンペーンと称する、技工料金の安売りセールのチラシと料金表とを手に入れました。

ものすごい金額になっています。
そしてこれが、例えば関西圏だけの競争かと思っていたら、既に全国区でこうなっているんだろうと。
関西圏の料金表には、扱われている技工物全てが、通常料金の半額に設定されています。
一例をあげると

インレー600 クラウン1100   HC2500 HJK2250 HB4250 HBJK4000  MB6000  
ショット義歯最低10000最高14500 個人トレー、咬合床350  保険総義歯4500 などなど。

材料費に人件費、作業時間を考えると、ありえへん価格です。

都内のキャンペーンでも

HC3000  HJK2300 MB6000 HB4000  HBJK2500 

となっていますから、ほぼ横並びにこの価格でなければ新規営業は出来ないのでしょう。

しかしこれ、歯医者さんも言っていますが、期間限定のキャンペーンと謳っていても、元の価格に戻すことは難しく、永久に続く期間限定になってしまうのです。

では、今流行りのジルコニアなどのオールセラミックスなら価格は維持されているのでしょうか?

いや、これも同じチキンレースになっています。
前にも紹介したように大阪のラボはジルコニアクラウンの完成価格が16000円まで落ちています。
そこまでサービスして抱き合わせで保険が取れても、HCは3500円です。
ため息が出ます。

友人から聞いた、千葉の某ラボはジルコニアの受注が多くなって、社長は10日間も帰宅できないでいると言う事ですが、ならば、儲かってウハウハかと言えば、経費や人件費で何も残らないと言うのが現実です。

私たちは歯科需要にまだ潜在需要が存在するから、やりようによっては儲かるなどと言う幻想を、捨てるべき時に来ていると思います。

すでに、増えすぎた歯科医師や歯科医院を全て食わせるだけの、国の歯科医療費も確保されていませんし、国民の歯科医療に対する優先順位や支払いの意思、そもそもの歯科疾患もどんどん減ってきていると言う事なのです。

歯科技工士は、現状の歯科ホテツ需要に対しては過剰だと言う、みな歯科さんの分析も、悲しい位その通りなのでしょう。

そして、本当に存在する歯科ホテツ需要に対しては、実は価格を上げたとしても、需要自体は減らないし存在すると言う話も有ります。
それ以上に、技工サイドが歯科医院に対してダンピングに走り、価格を下げても患者さんの掘り起こしや国民の歯科受診意欲には繋がらないのだと言う事なんです。

結局ダンピングは技工業界自身の体力を奪い、競争にならないラボの実質的な淘汰に行き着くのだろうと思います。
その過程で、ダンピング料金を甘受した歯科医院は、確かに差額を得るかもしれませんが、それが患者さんに還元される事は先ず無いだろうし、そもそも、そんな事実すら患者さんや国民には知らされる事はないのです。

ある先輩から蘊蓄に富んだメールを頂きました。 以下に紹介します。

----------------------------------------

人間の体を診療する仕事量を100とした場合、(数字では出せないけれど、仮に)
歯科の仕事量はいくつになるか、恐らく、10に満たないと思う。

それなのに日本の医者30万人と歯科医師10万人。
おおざっぱだけど。

仕事量から計算すれば、10分の1だから、歯科医師は3万人もいればいいことになる。
歯科医師はその3倍もいるのだから、割り当ての仕事が少なくなる。
医者は不足していて、どこの医院も多忙で収入がいいのに。
歯科は患者の奪い、医師より低収入といわれている。

私の近くの某歯科医院は、
駅から3分というのに、
患者さんを車で迎えに行って連れてくる。
送迎車が7台、街でたびたび出会う。従業員100名。
大きな看板も目立つところに沢山ある。
遠方の患者も集めてしまう。
一日200名から300名。
こうでもしないと患者は集まらないのかも。

歯科医師は開業予備軍(卒後10年以内)2万人ともいわれるから、
向こう10年は歯科診療所は増え続ける。
勤める職場は少なく、開業するしか道がないから。
国家試験を受かった歯科医師の運命。
少ない患者の奪い合いが、益々激しくなり、
医院経営は先が暗い。
患者が少ないから、技工の仕事も少ない。

ところで、
歯科技工士の免許取得者は約11万人、そのうち就業している人が、
3万5千人。約70%の人が離職している。
つまり,技工を見限って、業界から去っていった人。
せっかく免許を取っても、免許が無駄になる人が、
毎年1000人近くも存在する。
免許取得に費やした、若い時の時間と経費。
その投資の損害は計りしれない。気の毒なことだ。
この離職者のおかげで、現業者が生き残れる。

学校経営も入学者が60%しかいないで、大変だが、
50校以上もあるのだから、こちらも学生の奪いあい、仕方がない。
まだまだ、学校が多過ぎる。

現在、毎年1500人ほどの国家試験合格者が誕生していると思うが、
すべて就業したならば70歳まで、50年間で75000人だ。
これではどう考えても多すぎる。

500人就業すれば、50年間で25000人。
今後、歯科技工の仕事は減少傾向にあるから、これで丁度いいと思う。
私の考えでは1000人は過剰養成だと思う。つまり70%。
だから、仕事の奪いあいが避けられない。

ある技工所経営者は低賃金で雇って、過酷な労働で働かせても、
新卒で穴埋め、大勢卒業してくるから、
5年働けば止めてもらうという。
新卒若者は低賃金で良く働く。
若い技工士は使い捨てライターなのか。
学校が沢山あるから、採用には困らないそうだ。
技工士の免許取得者は技工の仕事に就く人が多いから。」
だから、安い技工料金でも、経営が成り立つ。

技工所も生き残りをかけて、激しい競争がつづく。
歯科医師も、歯科技工士もまだまだ過剰養成が続いている。
これでは業界が改善される兆しは見えない。

------------------------------

某歯科医院と言うのも、どこの歯科医院かは分かっているのですが、HPを拝見すれば大変な規模です。
そして、新たな取り組みとして、契約先のラボから歯科技工士を常駐派遣してもらうのだとか。
そこのラボの社長さんには、歯科技工士会在籍当時に大変お世話になったし、ラボに足を運んだ事も有りました。
歯科医院も歯科技工所も、ある程度の規模が無ければ、そのような余裕は持ち得ないでしょう。

関西圏のラボのHPにも、シェードテイクはいつでも無料で伺いますとあります。
しかしよく考えていただきたい。

歯科技工士が常駐するのでもない限り、ただ、シェードテイクだけの為に無料で行く事が、どれだけの負担、コストになるのかを。

徒歩数分の範囲ならいざ知らず、交通状況によってはほんの10キロ四方の範囲でも、往復の時間とコスト、更に院内での待ち時間などもかさんでくる。3時間、下手すれば半日が潰れる事だってあるだろう。
そのコストは人件費や交通の経費にすればどのくらいかかるのか。
仮にメタボンが定価12000円だとして、そのようなシェードテイクがあれば、数千円がそのコストに消える。
これが、ダンピング価格の6000円であれば、下手すれば全て無料の行為に消えてしまいかねない。

過剰なダンピング、過剰なサービス。
これらが本当に歯科医院や歯科業界の存続に必要な事なのか?

歯医者さんの皆さんも過当競争は十分承知の事でしょう。
弱いものにつけ回しが出来るから、多少は楽になる、延命できるなどと思わずに、どうか、技工業界の無様なチキンレースに批判の目を向けていただきたいと思います。

     

|

« エリート主義経済学と真正大衆国家日本の役割 | Main | シリーズ小沢一郎論―9  岡田幹事長を憐れむ小沢一郎の目線 »

Comments

技工代金、山口ではほぼ倍です。
医院経営から考えると、大阪の値段は、正直言って魅力的です。
今の技工所はクオリティが高いので、契約していますが....。
技工代が経営を圧迫しているのは事実。
もっと保険点数が上がらないと歯科は終わりですわ。

Posted by: nakaod | December 16, 2010 at 10:04 AM

ここまで保険の技工料金が下がるならば保険点数もリンクして下げなければダメだよね。技工差益は国庫に還元するべきだし、本来は国民のお金。


Posted by: 皆保険は誰のもの | December 16, 2010 at 01:03 PM

初めまして。

そのような料金を掲載することで技工士たちにメリットがあるのでしょうか?
不安をあおるだけではないですか?

どんな業界でもカスは存在します。(言葉は悪いですが)
そのような連中の経営方法を掲載することに意味は感じません。
高い料金で経営しているラボの料金を掲載したほうが良いと思いますよ。

失礼しました。


Posted by: tec | December 16, 2010 at 07:42 PM

情報は一人歩きを始めます。。。このような料金の掲載はどうですかね・・・
どれほど技工料金を下げようが、歯科医院の経営がそれだけで持ち直すなんて考えられません。
みなさんその辺は、理解していることでしょう。今の時代は、情報をいかに精査するかにかかっているのではないでしょうか。

Posted by: ぶるーあい | December 21, 2010 at 01:06 AM

この数字、たぶん営業地域の数字も調べて出しているでしょう。


このようにして自滅の道を辿る良い見本です。


そして技工差益で経営を考えている歯科医院は来たるべき時には海外技工物にも依存出来ずに消え去ります。


こんな数字は気にする必要などありませんよ。

Posted by: 皆保険は誰のもの | December 21, 2010 at 06:00 PM

上の料金、確かに価格破壊ですがまだまだマシです。
関西ではFCKが1本1000円を切った所もあります。

皆あれこれ言いますが食うか喰われるか…それが資本主義です。

そして規制緩和で近い将来、無資格者や海外での技工物製作が、
まずは有資格者の監督下で可能になるよう技工士法が改められることでしょう。

Posted by: 某技工士会員 | December 24, 2010 at 07:32 AM


みんなの歯科ネットワークの技工に関する読み物読まれましたでしょうか?

おそらくこれが正しい主張でしょう。

Posted by: | January 03, 2011 at 05:08 PM


私は、そういった価格を提示し、実際にその価格で納入している歯科技工所の
経営内容に興味がありますね。
それらの技工物の質に問題がなければ、消費者、すなわち歯科医師にとっても、国民にとっても
利益となるのではないですか。

もちろん、そういったラボの就労状態もきになります。

jcrc133さんは、それらのラボに直接問い合わせたり、話を聞いたりはしていないのですか?

Posted by: | January 05, 2011 at 08:34 AM

>歯科医師と国民の利益


もう一度良く考えてごらんよ。
考えても分からないなら、貴方が機械化してその利益を与えればいいじゃないですか。
機械化がまだ無理なら日々産み出される歯科技工士を使い利益を与えればいいじゃないですか。
そこに美味しそうな臭いを感じたなら貴男が誰にも教えず旨味を独り占めすればいいじゃないですか。

どこの会社の料金かは調べればすぐにわかりますよ。


わかったら貴方がその会社から教えを請うて儲ければいいじゃないですか。


いや、儲けるのではなく歯科医師と国民に利益を与えて下さい。


Posted by: 皆保険は誰のもの | January 07, 2011 at 10:59 PM


良く考えて書いているつもりです。

消費者は安くて良いものを求めています。
社会主義の国であってもそうです。


それでいいのではないですか?

これがあってこそ、その業界は発展します。

Posted by: | January 08, 2011 at 02:46 PM

分かるよ。良くわかります。だけどそれを受け入れる訳にはいかんのですよ。甘いと思われるでしょうが、私は患者さんが求めるものを提供するように教育は受けませんでした。医療従事者として患者さんに向かい合う事を教えられました。
しかし貴殿が仰る通りの現実が来ているのは日々感じております。お返事感謝致します。

Posted by: 皆保険は誰のもの | January 08, 2011 at 07:06 PM

>>私は患者さんが求めるものを提供するように教育は受けませんでした。
>>医療従事者として患者さんに向かい合う事を教えられました。


患者さんと向かい合えば、患者さんが何を求めているのかが分かるはずです。
患者さんは、歯科業界が何を考えているのかなんて考えてもいないでしょう。

患者さんはほしいのは、良質で負担が少ない技工物でしょう。

Posted by: | January 08, 2011 at 09:32 PM

結局一番悪いのは歯科医じゃない?
右から左に流すだけで金とってるのこいつらでしょ。
歯医者なんてだいたいが銭ゲバだね

Posted by: | October 19, 2013 at 01:03 AM

大分遅れて書き込みするけど、その安い料金の利益を誰が得ているか?
この問題の一番の問題ではないでしょうか。
例えば、保険料金とは、作るものに対して、一律何円と決められています。
で、1本1万円だとしますよね。国民負担は3割なので患者さんは3000円払ってます。
でも、この1本1万円でちゃんと取引されてれば、問題ないんですよ。
技工士→歯医者→患者 へ物が流れます。
支払いとしては、歯医者は技工士へ7千円払うはずが(7:3問題で一度国会にも取り上げられました)さの7千円のものを値引きし、本来の価値の1/4で買ったとします。
歯医者は本来1万円のものを2500円で買いました。歯医者は7500円の得です。
では患者はその差額の7500円を利益を享受しているか。決して、しているとはいいがたいです。
サービスで歯の虫歯の点検しました、レントゲン取りました^^なんて歯医者見た事ないでしょう。
それは別途保険点数で加算しているはずですから。

さて、話を少し戻して、この7000円の利益を享受したいのが歯医者なのです。
で、更に安くしろ。隣はこんなに安いんだぞ。うちは取引先を変えてもいいんだ。

この繰り返しが今の保険のホテツの現状の安さなのです。
その爆安体系の裏側でどれほどの技工士が深夜までホテツブツを作ってるかわかりますか?

1個の純利益が200円もしないものを1日20個~30個作るその悲しさ。
そりゃ、金だけ稼ぐなら不動産や金融、今だと葬式業界へ出た方が何倍もいいです。
青雲の志を持って、歯の不幸を直したい!と思ってこの業界へ入る若い人達への仕打ちがそこなんです。

ある程度の社会貢献が出来るのは懐に余裕が生まれてから。
家族、友人、恋人とすら、幸福な時間を作れない人が、どうやったら患者を幸せに出来るのでしょうか?
それとも、己を殺し滅私の覚悟で仕事をしろ。一生を仕事にささげ奉公しろ。
と言うのですか?

一般の企業では、口ではそういっても拘束時間なんて12h程度、月に8日休みなんて会社もざら。
技工士はその倍働いています。
その働いている人へ向かって、滅私奉公しろ。というのですか?

Posted by: | October 25, 2013 at 11:45 PM

≫その安い料金の利益を誰が得ているか?

ですが、国民は金と歯を失い、歯医者は仕事を失い、技工士は時間を失っている。

やはり一番得をしていると思われるのは・・・・崩壊している医療制度を行う行政側に居る人たちではないでしょうかネ。

Posted by: 特命で | October 27, 2013 at 10:11 PM

2個前のレスを書かせてもらったものです。

多分自身をルサンチマン と言っていた方でしょうか。
だとしたら、ブログの過去ログを拝見させてもらってます。大変興味深く読んでいます。
違いましたら、勘違いご容赦下さい。

技工士は政治力が不足しています。
看護士の方々を見る限りあまりにうらやましすぎるその団結力、組織力。

技工士が今政治的に弱い理由って、横のつながりが希薄なのが一番の理由じゃないでしょうか。

Posted by: pgt | October 29, 2013 at 02:36 AM

ルサンチマン(奴隷道徳)とは?http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-884.html であり、ビッグコミックスの花沢健吾著からのものなのか…当人ではありません。

ここに書かれたほど、政治力が必要でしょうか?

お聞きしますが、もしご自身や家族、友達が歯科治療を受けるとしたら、薦めることが出来る歯科医療機関は有りますか。
その時、一般的に行われている保険の技工物を薦めることが出来ますか。

何故出来ないのか御自身に問いかければ、おのずと答えが浮かんでくるのでは…

それを周りに伝えて行けば、悪質なインプラント事件ではないですが変革の波になるのではと…そのために個々の行動力が必要なだけではないでしょうか。

Posted by: 特命で | October 29, 2013 at 10:30 PM

保険技工物が劣悪ということもないと思いますよ。

Posted by: | November 01, 2013 at 09:19 PM

コメントを有難うございます。

【山本太郎手紙】山本氏「原発労働者の劣悪環境知ってほしかった ...
2013年10月31日 ... 山本太郎参院議員(無所属)は31日、同日行われた園遊会で天皇陛下に手紙を渡した 理由 ...
sankei.jp.msn.com/politics/news/.../plc13103118440016-n1.ht...

劣悪で検索をかけたら偶然にも上記の話題がヒットしましたが、今回は保険技工物が「性質・状態・品質などがひどく劣っているとは言えない」と言われてのことと察しました。

私は一言も「劣悪・・・」とは言っておりませんが、「一般的に行われている保険の技工物」の所から「劣悪」を想像されコメントされたものと…。

劣悪を判断する基準は人それぞれですのでハッキリ断定できませんが、供する医療側も供される患者側も現状に満足する人が少ないのが現状では…。

そこの是正策での話しでコメントをさせて頂いたのです。

Posted by: 特命で | November 02, 2013 at 09:10 PM

皆さん、コメントをありがとうございます。
このブログも、殆ど放置状態にしてありまして、コメントもあまり見ていませんでした。

無責任だと言われそうですが、現実の技工にも向き合う気力をなくしているのが本当のところです。

この一年くらいは、もっぱらFBでリアルにも存じ上げている方たちを中心に、交流をさせて頂いてきました。

また少しづつでも、記事を書いていきたいと思います。

皆さんの残されたコメントに対して、すぐにお答えする事は出来ませんが、記事のヒントにさせていただきたいと思います。


仕事の売上も最低状態ですので、アフィリエイトなども活用して、少しでも収益を得たい所でもあります。

Posted by: G3 | April 29, 2014 at 12:44 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/85649/50307893

Listed below are links to weblogs that reference 行き着くところは、タダ? 止まらない技工料金ダンピング。:

« エリート主義経済学と真正大衆国家日本の役割 | Main | シリーズ小沢一郎論―9  岡田幹事長を憐れむ小沢一郎の目線 »