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December 18, 2010

「日本一新運動」の原点―32 ◎「小沢問題」にみる「平成のメディア・ファシズム」 日本一新の会・代表 平野 貞夫

「日本一新運動」の原点―32             
                    
              日本一新の会・代表 平野 貞夫

◎「小沢問題」にみる「平成のメディア・ファシズム」

 わが国で、深刻なファシズムが始まっていることに気がついて
いる人は何人いるだろうか。「平成ファシズム」といってもよい
し、実体から言えば「メディア・ファシズム」ともいえる。
 「小沢問題」とは、昨年3月の西松事件から始まり、陸山会事
件などについて、「小沢氏は国会で説明責任を果たしていない」
との野党要求に対し、与党民主党執行部が最初は国会対策として、
その後は菅政権の延命策として、小沢氏をまずは政治倫理審査会
等の場に引っ張り出そうとして、民主党内が混乱している問題で
ある。「小沢問題」は政治倫理審査会で審査できる問題ではない。
マスメディアが言論の暴力で、小沢排除の先頭に立ち、民主政治
を崩しているのが問題である。

(ファシズムとメディア)

 「ファシズム」をひと言で定義するのは難しい。平凡社の世界
大百科事典を要約すれば「資本主義の全般的危機の産物であり、
崩壊しそうな資本主義を守るため、権力が市民の民主主義的諸権
利を踏みにじり、議会の機能を麻痺させ暴力的支配をおこなう」
となる。現代のファシズムを論じるとき、何が「暴力的支配」に
当たるかが問題となる。
 「自衛隊は暴力装置だ」と国会で場違いの発言をして問責決議
案が可決され、居座りを続けている大臣がいる。参考になる話だ。
現代社会の「暴力装置」は、『巨大マスメディア』といえる。
「馬鹿なことを言うな」と、「社会心理的暴力装置」の代表者ナ
ベツネさんたちは怒ると思うが、心理的には間違いなく「暴力装
置」だといえる。
 現代の情報社会では、マスメディアは完全に立法・行政・司法
に次ぐ第四権力である。前者三権は憲法で規制されているが、マ
スメディアは野放し状態である。実体として立法・行政・司法の
三権は、マスメディアがコントロールする世論によって影響を受
け支配されているのだ。
 さらに、第四権力の本質は、資本主義的利権と特権を持って、
社会の木鐸たる役割を放棄した利益企業として存在している妖怪
である。グローバル化とIT技術の発達という資本主義の崩壊的
危機の中で、生き残りをかけて巨大マスメディアは、既得権(記
者クラブ制・クロスオーナーシップ・低廉な電波料金)を死守し
ようとしているのが現実である。それを改革しようとする小沢一
郎の存在を彼らは許さず、襲いかかっているのだ。

(「暴力装置」としてのメディアの実体)

 12月13日(月)、永田町は朝から「民主党分裂か」と緊迫
した。同日午後の常任役員会で、岡田幹事長が「小沢氏の政治倫
理審査会での説明出席を、役員会の議決で決める」との動きが出
たためであった。
 結果は、幹事長一任となり先送りで、有耶無耶となった。小沢
グループの有志が「議会民主政治に反し、正当性がない」との
「決議」を岡田幹事長に渡して抗議するなどの動きに影響された
ようだ。
 小沢氏の国会での説明については、臨時国会で野党が要求した
ものである。国会正常化の条件の一つであったが、現場の与野党
で「小沢氏が出席説明できる環境を整備するよう努力する」こと
で合意していたものである。それを岡田幹事長が「政治倫理審査
会で説明するようにする」と、与野党幹事長等会談で約束したこ
とで混乱が始まった経緯があった。それを菅首相や仙谷官房副長
官が「小沢排除」に利用して、岡田幹事長の独り芝居となったわ
けである。一部の見方では、党議に反した場合、小沢氏を離党さ
せて他党と連立や提携を深めようとの魂胆があったといわれてい
る。この日から翌十四日にかけての各TV局は一斉に「小沢は岡
田幹事長の要請を受けて、政倫審に出席して〝政治と金〟につい
て説明するのは当然だ」と「小沢叩き」一色となった。特に酷か
ったのが朝日の星氏と時事の田崎氏であった。社命の背景があっ
たかも知れないが、この二人が「メディア・ファシズム」の政治
部門の旗手といえる。
 翌日の朝刊も酷かった。各紙とも岡田幹事長を支援する論調や
解説で、新聞社もここまで劣化したのかとあきれ返るほどであっ
た。特に呆れたのは読売と朝日で、『小沢氏の招致を先送りする
な』(読売)では、「菅首相が通常国会に向けて態勢を立て直す
第一歩が、小沢氏の政倫審招致実現である」と論じ、菅政権の無
能力を小沢氏の責任にする暴論である。
 朝日は岡田幹事長と同じように、正気の沙汰でない社説であっ
た。『小沢氏はもう逃げるな』という見出しで、小沢氏の「政治
と金」を民主党にとっての「宿痾」(しゅくあ)だと断定してい
る。
 えらい難しい言葉を使って教養ぶりを見せびらかしているが、
そこが朝日のイヤラシさだ。これこそ背広を着た暴力団とどこが
違うのか。まさしく「言論の暴力」だ。小沢氏が自民党を出て、
真の政権交代を遂げるまで、政治資金について法規を遵守して、
どんな苦労をしたのか、私がもっとも知っている。
 朝日がそこまで言うなら私にも言い分がある。五十五年体制下
で、私が付き合っていた朝日のOBや現職幹部が取材や報道とい
う名目で、どんなスキャンダルや、政治家との関わりをしていた
のか、黙っているわけにはいかない。
 聞くところによれば、朝日の社内では「官邸機密費」にふれる
ことは禁句とのこと。立派な建前を偽りで続けていくことは、菅
首相や仙谷官房長官らの感性と同質だ。戦前のファシズムを創っ
たメディアでは、朝日の戦争責任が一番大きい。「平成のメディ
ア・ファシズム」の源は、小沢氏を政界から排除しようとする、
朝日新聞にある。

(政治倫理審査会の本義を知れ)

 ロッキード事件に始まった政治倫理制度の創設に、私は約10
年間、衆議院事務局の担当者として関わってきた。国会議員はじ
め、メディア有識者が、政治倫理審査会の本義を知らずに議論し
ていることに、ファシズム化を深めた日本の政治の悲劇がある。
 政治倫理審査会の審査は、
1、議長が、法令で決める規定に「著しく違反した」議員の政治
  的・道義的責任を審査することにある。
2、それは行為規範か、資産公開法か、政治資金規正法に違反し
  たことが前提である。
 小沢氏の場合、秘書や元秘書が起訴された「政治資金規正法」
が前提となろう。政治的謀略で起訴となった収支報告は適法であ
ったとの論が大勢であるが、仮に起訴どおりとしても「著しい違
反」ではない。従来なら総務省の行政指導により訂正で済ませて
いたことである。小沢氏は共謀を疑われて、何回も取り調べに応
じ、二度にわたり検察が不起訴にした事件で、その都度記者会見
で説明している。審査会の対象になるものではない。
 審査会が審査を行うについては、まず、審査会規程第二条で委
員の三分の一以上の申し立てが必要である。現在野党だけでは員
数が足りなく、民主党の同調が必要となる。そのことで民主党内
が紛糾しているのだ。
 仮に申立をするにしても「著しく違反していることを明らかに
した文書」が必要である。小沢氏を申し立てる場合、政治資金規
正法に著しく違反したことを明らかにする文書など作成できるは
ずはない。
 次の方法は審査会規程第二条の二で、不当な疑惑を受けたと議
員が自ら審査の申し出を行う場合である。小沢氏は不起訴の状態
である場合、この規程により審査会に出席して、疑惑が不当であ
ったことを説明するために申し出るつもりであった。代表選等で
審査会に応じるとの発言はこのことであった。
 しかし、10月4日、検察審査会が二度目の起訴議決を行った
ことを発表。小沢氏側が行政訴訟を起こし司法手続に入った。そ
して近々本格的裁判が行われることになっている。この状況で、
審査会の審査や調査に応じることは、裁判に影響を与えることに
なり、国政調査権の限界をこえることになる。三権分立の原理を
守るためにも応じるべきではない。
 岡田幹事長は「裁判に関わることではなく、政治責任を取り上
げることなので別だ。世論の大勢が国会で説明しろといっている」
と発言しているが、とんでもないことだ。審査会で政治責任を審
査することは、事実関係を抜きではできない。当該裁判に直結す
ることである。世論の大勢というが、「心理的暴力装置」のメデ
ィアが創りあげたものに、依存するとはあきれたことだ。
 政治倫理審査会は何のために設置されたかというと、グローバ
ル化し、情報化した国家社会で、健全な議会民主政治を発展させ
るためのものだ。国会議員の人格的・経済的倫理を確立させるこ
とが目的であった。制度をつくるとき、もっとも配慮したことは
審査や調査を行うにあたって、議員の職務や権限を侵すことがな
いこと、政治倫理確立という美名を利用して、国民主権で有権者
から選ばれた地位を侵害しなくするため、などであった。例えば、
「議員辞職勧告決議案」の提出をやめること、政治倫理問題を国
会対策などに利用しない、といったことである。

(官邸と岡田幹事長が小沢氏の国会招致に拘る理由)

 12月15日(水)夜、仙谷官房長官が語ったといわれる重要
な情報が入った。「小沢氏が起訴され裁判が始まると、元外務事
務官・佐藤優氏のように休職扱いにすべきだ」とのこと。真偽は
わからないが、総会屋や暴力団を庇う弁護士の考えそうな話だ。
 要するに菅政権にとって、「国民の生活が第一」とする小沢氏
をどうしても排除したいようだ。そのため、さまざまな手を使っ
て道理に合わないカードを切っているのである。
 そう言えば、検察事情に詳しい人の話だと、柳田法相の2ヶ月
間に何もやらなかったといわれているが、実は官邸が検察をグチ
ャグチャにしたとのこと。尖閣列島問題だけのことではないらし
い。第五検察審査会の不可解な動きに官邸が関わっていた可能性
がある。来年1月13日の民主党大会前日の12日に、小沢氏が
起訴されるらしいとの日程は、官邸の党大会対策との情報もある。
 小沢氏の国会招致をこの線上で見ると、恐ろしい謀略で日本の
政治が動かされているといえる。政治倫理審査会で「小沢問題」
の審査を行うことに正当性はない。証人喚問に至っては暴論、暴
挙である。
 小沢氏を苦しめた一連の事件は、政権交代を阻止する自民党旧
体制と検察がメディアとコラボレーションをした弾圧であった。
それを政権交代以後の菅政権が引き継いだのが実体である。民主
党がまっとうな政党なら、「小沢問題」は、民主党が自民政権の
謀略と検察ファッショ性を追求すべきことだ。

 歴史は繰り返すというが、昭和9年(1934)の帝人事件・
検察ファッショを思い出す。検察のデッチアゲであることが警視
総監の証言をきっかけに判明したが、斉藤内閣は倒れ、翌年には
「天皇機関説事件」、次の昭和11年には「2・26事件」が起
こり、日本はファシズムの波に洗われることになる。しかし、気
骨のある議会人・斎藤隆夫や浜田国松らは議会政治を守るため生
命を懸けた。21世紀の国会では、「平成のメディア・ファシズ
ム」侵攻の危機を訴える政治家は未だいない。
 しかし、私たちは悲観してはいけない。「平成のメディア・フ
ァシズム」に気づいて、真実の情報を伝えようとするITネット
の努力を知っている。この人たちと共に「メディア・ファシズム」
と闘っていくのが「日本一新の会」である。

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☆最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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