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January 30, 2011

社会保障を消費税で賄える時代ではない 日本一新運動」の原点―39

「日本一新運動」の原点―39

              日本一新の会・代表 平野 貞夫

 1月26日(水)午後、小沢一郎氏と懇談した。用件は私が今年の春出版する『消費税をめぐる攻防』(仮案)(千倉書房)について、事前に知らせておくためであった。
 昭和62年に中曽根内閣が「売上税法案」を提出して、大紛糾の国会となる。議長斡旋で廃案とし、税制改革協議会を経て、翌63年に竹下内閣で消費税制度を成立させた。
 この間の私の日記や、各党からの要請にどう対応したのか、資料などを公開するのである。

 この時期、小沢さんは竹下幹事長の側近として、あるいは竹下内閣の官房副長官として大活躍していた。小沢一郎という政治家がいなかったら、消費税制度は成立していないと思う。
 表の話や裏の話など、当時の苦労話に一刻を過ごした。
 丁度、国会では菅首相が絶叫する「消費税増税と社会保障を一体とした協議」が、議論されている最中である。 私は25年前の税制抜本改革を思い出し、「消費税と社会保障」の21世紀でのあり方について、小沢さんに意見を聞いてもらった。

(社会保障を消費税で賄える時代ではない)

 菅首相は「消費税増税で社会保障を整備し、財政再建をすることが、平成23年という時点で国会議員の責任である」という趣旨のことを方々で大言壮語している。

 果たしてそうであろうか。
 
 私はそうは思わない。消費税を福祉目的税にして、社会保障制度を整備するという政策は、30年前に実現すべきことである。
 菅首相の絶叫は30年古い。

 平成6年2月の「国民福祉税法案」構想が、最後のチャンスだった。

 潰したのは誰か、菅氏が所属したグループだった。歴史観がまったくない。

 仮に消費税を10%とし、福祉目的税としても、現行制度をどんなに変えても、対応できる時期はせいぜい5年間で、たちまち破綻する。
 さらに現在の深刻な経済停滞の中で、現行5%の消費税を、さらに5%上げると、国民生活への影響は計り知れない。
 消費を萎縮させ税収を減らし、財政再建どころではなくなる。財政再建は確かに必要だが、自民政権や財務官僚の責任逃れ、菅政権の延命策でしかない。消費税増税による社会保障の整備論は、財政再建どころか経済を破綻させ、未曽有の混迷経済となる元凶だ。

 昭和62年の中曽根内閣の売上税の失敗は、総選挙でやらないと公約した大型間接税を、謀略的衆参同時選挙で勝利したことに悪乗りして、政権延命のために「売上税法案」を提出したのである。
 現在の菅内閣のパターンもこれにそっくりだ。一昨年の総選挙で、任期4年間は消費税率を値上げはしないと 公約して政権交代を果たした。それを、1年も経たないうちに「消費税率値上げ」を突然に言い出し、参議院選挙に惨敗した。

 その反省もなく、巨大メディアの阿呆としかいえない幹部記者たちに煽てられて、政権延命として税制抜本改革を大言する。
 国民はこの不誠実さに怒るのである。菅首相の消費税増税論は、本来あるべき税制の本質的改革を妨げるものである。

 私は財政再建に反対しているのではない。真の財政再建を実現させるためには「国民の生活が第一」という国家社会にとって、どうしても必要な仕組みをつくらなければならない。そのためには官僚の帳尻合わせの財政再建であってはならない。
 資本主義社会の変質に応じ、人間の価値観が変化向上しなければならない。
 いま最も大切なことは、国家社会や経済発展の決定的要因は「人間の精神のあり方」であることを、政治家たちが自覚することである。政治家や官僚、既得権をもつ人たちの意識改革が先だ。

 一昨年、民主党への歴史的政権交代を選んだ国民を裏切って、何が財政再建か、社会保障の整備か。私は率直に小沢さんに尋ねた。

“国民の生活が第一”・“自立と共生”は、新しい社会をつくるための正しい発想だ。
 しかし、国民に具体的にその思想や理念、そして系統的な政策についてわかりやすく説明する努力が足りなかったことが、民主党政権劣化の原因ではないかと。

 小沢さんは静かに頷き、私が持参した書籍を手にとった。それは日本一新の会の活動を通じて、元田厚生札幌大学院教授から頂いた『豊かさをつかむために―落ち穂を残す精神』(元田厚生著・中西出版)であった。
 その帯には「ミレーの代表作『落穂拾い』から“真の豊かさ”を考える。モノに依存しない豊かさとは何か
? その豊かさを 実現するために 一人一人がすべきことは? そして、その豊かさをつくりだす 経済システムとは何か」とあった。
 財政再建の根本はここにある。

 小沢さんは「国民の一人一人が、幸せで豊かさをつかむために、あらゆる努力をしよう」と、力強く語った。小沢事務所の外には小沢番の記者たちが、今日にも検察審査会の議決による起訴が、あるかも知れないと待機していた。
 政治謀略による冤罪に間違いないと私は確信しているが、旧体制の政治権力と官僚、そして巨大メディアの「新しいファシズム」と闘いながら、政治家小沢一郎は、しっかりと国民を見つめているのだ。
 これを理解できない政治家たち、メディアに洗脳された人々の存在が、日本を亡国に導いていると思う。

(議会民主政治の原点を忘れた日本の国会)

 このシリーズの中で、私は何回も日本の議会政治について意見を申し上げてきたが、現在の日本国会ほど、衆参両院議員も両院事務局も、民主政治の感性について劣化している時はなかったと改めて言いたい。
 私は、大学時代の修士コースで「日本憲政史」を専門的に学び、衆議院事務局で33年勤め、12年間参議院議員として政治改革の実現を目指し、引退後六年間は政治評論を仕事としてきた。

 現存する日本人の中で、誰よりも議会政治の実務、歴史、理念などに精通するとともに、責任を強く感じている一人だ。その私が断言したいのは、一昨年からの「小沢問題」(政治とカネ)は、政治謀略が検察を暴走させ、さらに裁判所まで法治国家を否定しようとしている恐ろしい問題である。

 こんなことが許されるなら、政敵になる政治家を簡単に葬ることができる、否、一般の人々でも検察が不起訴とした人物を、検察審査会が起訴すれば刑事被告人どころか、罪人にすることができるのである。
 こんな状況だと、明治憲法下の帝国議会の方が、はるかに議会民主政治の原点を知る政治家が多かったといえる。 

 昭和9年の帝人事件での検察ファッショは、軍部の拡大を抑えようとした斉藤実内閣を倒閣させることになる。しかし公判で、藤沼庄平警視総監は「起訴は司法省の行刑局長の塩野季彦らが内閣倒壊の目的を持って仕組んだ陰謀だった」と証言したことで真相が判明したのだ。
 いまこんな士(さむらい)の官僚はいない。

 その後の日本の軍部によるファシズムを阻止しようと浜田国雄、斎藤隆夫らが堂々と本会議で、議会主義を守るため弁論で戦った。
 今日の「小沢問題」を議会民主政治の危機として理解する国会議員は、きわめて少数だ。多くの国会議員が「明日は我が身だ」と、どうして考えないのか。
 「社会的暴力装置」と成り下がった巨大メディアに同調して、与野党と多くの国会議員が「小沢問題」を究明しない姿勢に、私は大きな憤りを感じる。

 1月24日から始まった通常国会での代表質問で、「小沢問題」を議会民主政治の危機とする議論がなく、証人喚問など国会招致の立場からだけの議論であった。
 国会自身が「新しいファシズム」の枠の中で動くという最悪の状況を呈しているのである。
 こんなことだから、まともな政治ができないのだ。 

 「小沢問題」を国民に誤解させた原因は、検察審査会に「強制起訴」という憲法違反の制度をつくった立法府にある。国会に責任があるのだ。その検察審査会が、行政か、司法か三権分立の原則からはずれ、法律上きわめて曖昧な権限の組織として立法したのも国会の責任だ。杜撰な予算管理には「裏ガネ疑惑」の情報さえある。
 検察審査会の実体を究明するだけで「小沢問題」が政治と司法官僚の謀略という本質が解明できる。ごく一部の国会議員しかこのことに関心がない。しかも、民主党岡田執行部はこの問題を取り上げる所属議員を弾圧している。

 このような事態に対応するため、森ゆう子参議院議員を中心に「検察審査会の疑惑を究明する市民と国会議員の会」(仮称)を組織することを計画中である。
 国会の各機関や各党、政府や司法関係機関に問題点を指摘して改革を迫ろうという、一大国民運動である。「日本一新の会」も参加して、積極的に活動することになるので、会員の皆さんにご協力をお願いする。 
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☆お詫び
 前回32号の達増論説、シリーズ小沢一郎論が12となっていましたが、正しくは13の誤りであり、お詫びして訂正します。
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☆最後までお読みいただき、ありがとうございました。

森ゆう子議員 ツイッター  http://twitter.com/#!/moriyukogiin

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