遅くなってしまいましたが、メルマガ日本一新運動の原点
◎「日本一新運動」の原点―49日本一新の会・代表 平野 貞夫
(幻の『救国非常事態対策院』の設置)
有史以来最大の災害となった「東日本大震災」、その対応の最
高責任者であるリーダーとしての菅首相の資質、というより人間
としてのあり方が問題となっている。民主党内はむろんのこと、
内閣・官邸から悲鳴が聞こえてくる。内閣も国会も機能不全とい
う事態に、私は「日本一新の会」の多くの会員から、絶叫のよう
な叱責を受けていた。
私は衆議院事務局に33年間勤め、その間、10年ぐらい災害
対策の仕事をしていた。災害対策基本法の制定にも関わり、日本
の災害の特殊性や明治以来の官僚国家の中で、災害対策が国民の
ために行われていなかったことを熟知している。現在でも官僚制
度の発想の原点に「原型復旧」という哲学が生きている。そもそ
もわが国で、「災害復旧基金」のようなものが始まったのは、日
清戦争の賠償金であったという歴史を知ればわかろう。平成4年に参議院議員となり、小沢一郎氏のもとで「国民の生
活が第一」を目標に、新しい国づくりのために活動していた。
平成16年に参議院議員を引退後は「日本一新運動」を中心に
政治評論活動をしている。思うに、日本の災害の歴史は社会的弱者が常に被害を受けると
いう構造であった。社会的強者や支配層が被害を受けることは少
ないという歴史であり、今回の福島原発災害の背景には、大都会
の繁栄のため、過疎地と、そこに住む人々が犠牲となるという社
会構造を忘れてはならない。
昨年、後期高齢者となった私は、堪え性がなくなったのか、国
会・政府・政党の「非常事態」認識が不足していることに怒りを
募らせ、旧知の自民党元参議院議員会長・村上正邦を、3月25
日(金)に訪ねた。村上氏は原発災害でフランス大使館の支援に
関わったことで、菅首相に強い不満を持っていた。私の顔を見る
なり「わしに会いにきた狙いはわかっとるよ。国家非常事態で中
曽根元首相に会わせろ、ということだろう」と言い当てた。
ずばりであった。私は東日本大震災は非常事態であり「国家の
危機」と認識していない菅首相の対応をきわめて憂慮し、「メル
マガ・日本一新」でも提言を続けてきた。笹森清内閣府顧問も私
の提言を取り上げ、菅首相に直言したようだが、摘み食いに利用
されただけであった。衆参両院議長も国家の危機という認識はな
く、この事態に指導力を発揮できるのは中曽根元総理をおいて他
にないと確信した。
ところが中曽根元総理と私は逆縁で、保守政界の中で私が指導
を受けた政治家の全てが、中曽根政治と対立関係であった。その
関係は中曽根さんも承知していて、私も距離を置いていた。しか
し、この大惨事に対し、そんな小事にとらわれてはいかんと、村
上正邦という国士に相談したわけだ。村上さんは「よし、中曽根さんと会おう」と3月28日(月)
午後4時をセットしてくれた。中曽根さんと会うことが決まった
ことはよかったが、どんな話をするかは考えていなかった。この
非常事態で菅首相を直ちに退陣させることはできない。与野党の
挙国体制をつくる必要があるが、大でも小でも連立となるとポス
トと利権争いとなる。国家と国民のため、真の挙国体制をどうつ
くるか。村上さんと私は、国会決議で内閣とは別に各党・政府・
地方自治体・民間諸団体などの代表者で「救国非常事態対策院」
を設け、ここの提言を菅内閣が実行するということで意見が一致
した。
構想の叩き台はできたものの、村上さんと私だけではこれを動
かすことはできない。どうするかというところで、村上さんから
「亀井に相談しよう」とのことで、翌26日(土)に、村上・亀
井・平野・南丘(月刊日本主幹)の四人で会うことになった。会
談では、亀井国民新党代表のきわめて有用な提言に基づいて、次
の構想をまとめた。○救国非常事態対策院の設置(案)要旨
(目的)東日本大災害による非常事態に対処するため、挙国体制
により、 緊急対策本部の緊急対策と復興の基本方針、政
策の立案及び実施を提言し、本部長を補佐する。
(構成)各党を代表する者、政府を代表する者、地方自治体を代
表する者、経済界・労働界・言論界を代表する者、その他。
(設置)国会決議による。この構想のポイントは、政治・行政機能不全となった菅首相を、
大災害の中で退陣させることは総合的な判断として適切でないと
いう認識に立って、非常事態に対処するため国会決議という方法
で、救国体制をつくろうというものであった。これだと大連立と
かという党利党略なしに、真に国家と国民のための対策と、新し
い国づくりが可能となる。
緊急対策に見通しがついたところで、菅首相の花道として退陣
してもらう。どの道、在日韓国人の違法献金問題の責任もあると
いう期待があったことも事実である。
この構想をどう生かすか。亀井代表の意見は「菅首相が納得す
ることが前提だ。説得するのは仙谷副長官をおいてない。平野さ
ん、そのことは了承してくれるのか」と、小沢―仙谷関係を心配
して、私に意見を求めてくる。「いろいろあるが国難のときだ。
戦略的に仙谷さんに動いてもらって結構です」と言うと、亀井代
表はその場で仙谷副長官に電話をした。状況を説明し同日、亀井
―仙谷、村上―仙谷会談がセットされた。
ふたつの会談で仙谷副長官は「これは戦前の枢密院だ」と叫ん
だとのこと。その通りだ。こんな非常事態には非常時体制で臨む
べきであり、この構想は「超法規行為」を断行する腹がなくては
できない。そのため国会決議で設置し、憲法の原理に反しないよ
うにしたのだ。仙谷副長官は賛同し、菅首相を説得することにな
る。村上氏は「3月28日(月)午後四時に中曽根元首相と会う
予定なので、それまでに返事をもらいたい」と要望した。結局は、中曽根元首相との会談時間までに仙谷副長官から菅首
相を説得したとの返事はもらえなかった。村上氏と相談して、中
曽根元首相には経過報告中心の説明となった。中曽根元首相は、
「非常事態には総理が命を懸ける気になれば何でもできる。それ
ができなければ辞めるべきだ。そのことがわかる人間が総理にな
っているはずだ。構想のような組織はかえって邪魔になるのでは
ないか」との意見であった。
私たちは菅内閣が大震災発生後、機能しなくなっており、災害
の国難とともに、政治がもたらす国難が発生しており、国際的に
も日本国家の劣化が著しくなった状況を説明した。中曽根元首相
は「菅首相が腹を決めて私にアドバイスを求めてくるなら、相談
にも応じるし、指導もする」と、さすがの見識を見せてくれた。
この話は村上氏から仙谷副長官に伝えられ、菅首相の対応を見る
ことになる。
ところが、これらの動きに刺激されたのか、菅内閣・民主党執
行部内で、自民党との連立構想が出てくる。同時に自民党内部で
も百鬼夜行のように民主党との連立への蠢きが始まった。菅政権
側は延命策としての連立、災害復旧利権に関わろうとする自民党
化石グループ、そして自民党中堅からは菅抜き、谷垣首相が条件
だとか、百家争鳴の状況となった。
村上・亀井・南丘(前出)・私の4人の構想は、連立論となる
と利害利権の政争となるので、それを避けるために、超法規的発
想による『救国非常事態対策院』による各党・各界の、真っ当な
人材を活用した「枢密院」の設置であった。
右往左往の連立論は泡のように消えたが、百鬼どもは、いつ自
己の利益を求めて発酵してくるかも知れない。非常事態はより深
刻になっているのにである。しかし、時間の経過とともに忘れら
れるようになった。私たちの構想も、早咲きの桜のように散り、
さらに劣化し方向性を失った菅内閣は続いていく。このままだと
日本は崩壊し、取り返しが付かない事態を迎えることとなる。
◎私たちの国が危ない!―2 日本一新の会事務局・大島 楯臣(近代史における『3回目』の敗戦!)
前回、私は「これは『戦争』である」と記した。それに対し、
「日本一新の会」ブログ投稿欄(維持会員限定)に、戸田学さん
が「敗戦ではないか」と書いているがその通りである。しかも、
私は日本近代史のなかでの3回目の敗戦だと思う。第1回は「明治維新」であり、時の指導者の尽力により最悪の
植民地化は免れたものの、不平等条約と、鉄道に狭軌・広軌が混
在し、原発問題で俎上に上った交流周波数が東西で違う問題など、
その実は、日本の伝統をことごとく破壊しつくした「文明的敗戦」
といえる。第2回の敗戦は説明の必要がない。文字どおり、法的にも物理
的にも、徹底的に叩きのめされた昭和20年8月15日である。
広島・長崎には原爆攻撃を受け、東京大空襲に代表されるように、
地方の主だった都市にも無差別の空襲を受け、多くの無垢の民に
犠牲を強いた。もし万が一、東京大空襲のような無差別爆撃を、
今の時代に敢行したと仮定すれば、ただちに国連の「安全保障理
事会」が非常召集されるだろうし、そしてまた、原爆攻撃も然り
である。第3回はいうまでもなく、東日本大震災と、それに起因する福
島原発災害である。私は、東日本大震災のみで終わったとするな
らば『戦争』という規定はしなかった。『戦争』規定の要因は福
島原発災害を併発したことで、東日本大震災の性格が、世界規模
で変わってしまった。国際原子力機関(IAEA)の天野事務局長がすっ飛んできて、
日本政府の対応に、クレームに等しい注文を付ける、米国のオバ
マ大統領から複数回の電話を受ける、サルコジ仏大統領も、事実
上の国営原発企業であるアレヴァ社CEOを伴って飛んでくる、
さらには、独の外相来訪など、災害救済に全力を注いでいる(は
ず)の政府要人に会いに来る。それなのに、世界の政府要人がそ
の『戦後処理』に入ったとする認識が、政府にも、そしてマスメ
ディアにもない。原子力空母ドナルド・レーガンを投入した『トモダチ作戦』と
は、法的解釈は別にして、事実上の日米安保条約の発動と私は思
う。これに対して、反安保の社民党・共産党からはひと言も発せ
られない。それとも、『戦争』はダメで、人命救助は良いという
のだろうか。これをして詭弁と言わずして、他に適当なことばが
浮かばない。
私は、平野代表がたびたび指摘する『政党溶融』現象の露呈で
あり、民主党だけでなく、すべての政党・国会議員が『無政府状
態』、またはその黙認という『政治的放射能被害』を全世界に向
けて発散し、物笑いの対象と化していると理解している。
ことわっておくが、私は『トモダチ作戦』そのものを批判して
いるのではない。政党の、もっというならば、私たち自身の問題
として、日米安保条約と国連の問題について、平時に国民的議論
を進め、事前に整理をしておくべきだった。その子細は「日本改
造計画」(小沢一郎著)や、「自由党の挑戦」(平野貞夫著)を
始めとして、多くの資料があることから、これほどで止めたい。(バラック建ての『利権戦後処理』を急ぐな!)
報道では「与野党の大連立」が喧伝され、復興増税新設など、
政界では早くも「災害復旧利権争い」が顕在化しつつある。私は、
4月3日(日)の午後、大坂市上本町にある貸し会議室にいた。
ここでは、日本一新の会・関西地区有志の会の活動を日常化する
ために、10名ほどの維持会員さんと協議・相談中だった。そこ
に、自民党のある中堅参議院議員から電話が入り、20分ほど話
を聞き、私の見解を述べた。
彼は、私が日本一新の会事務局を担っていること、かつ、平野
代表の、あまり役には立たないが「使いっ走り」を務めているこ
とを承知の上での電話だったから、その内容は推して知るべしで
ある。
彼の発言内容をここに書くわけにはいかないが、私は「ことを
急ぐな。喫緊の課題は被災地の救命・救済であり、それは行政執
行に長けている官僚に任せるべきである。原発対応も同じであり、
アメリカであれ、フランスであれ、そしてまた平和条約ですら未
締結のロシアであっても、その技術を借りて、最悪の事態を回避
すべきである」と答えた。
一方では「ただちに衆議院を解散し、日本再生のヴィジョンを
競うべきだ」という意見が届き、これもまた正直なところ驚いて
いる。なぜならば、地方選挙でさえ先送りにしている被災地で、
「新しい国づくり」を議論する落ち着いた選挙ができるのか。そ
してまた被害を受けていない地方自治体は、選挙実務の手足とな
る職員を被災地に派遣しており、地方行政は人手不足に陥ってい
るのにである。繰り返しになるが、まず急ぐべきは、行方不明者の捜索と併せ、
瓦礫の片付け・仮置き、一方での被災者救援、これは仮設住宅を
満たすだけには止まらない。全国の官・民が所有する空き家を総
動員して、可能な限り地域のコミュニティを維持する仮住まいの
確保と当座の生活補償、そして、かろうじて住宅の被災は免れた
が、食糧供給を含む生活維持機能を失った方々への対応などがあ
る。電力・水道・ガスの復旧も当座は最低限として本格的な復旧
は後にする。電力は工事・非常時用の自走発電車が相当数ある。
都市ガスも本管復旧は後にしてプロパンガスで代替する。ガスボ
ンベが足りなければ、各家庭用に二本立ちとしているところを、
当座は一本にして全国からかき集める。水道も、設置型浄水器、
井戸掘りなどで当座を凌ぐなど、その道の専門家に任せればいく
らでも智恵は出るはずである。先の戦後処理は国民総じての茫然自失の中で、占領下で始まっ
た。憲法・徴税制度しかり、そしてまた教育も、制度のみならず、
その内容さえも彼らに変質させられた。私たちの世代がお世話に
なった学校給食の「脱脂粉乳」は益の一つではあるが、そうこう
しているうちに、朝鮮戦争が勃発し、莫大な戦費投入が「戦後復
興」を先導した。
しかし、幸いにもこの度の敗戦被害は限られた地域であり、生
き長らえた地域と人の数が多数である。ならば、既に始まった被
災者を迎える仮住まいの確保・受入体制整備など、当座の安穏を
補償する作業を加速することである。その環境を整えて後、被災
者を含む国民が落ち着いた時に始めてこの国のあり方を問わなけ
れば、私たちの『政治参加』は再びその手を離れる。(真の独立を果たすために!)
4月4日(月)の毎日新聞に、哲学者・梅原猛氏の「千年先を
見なければ」と題する特集ワイドが掲載されている。副題は「巨
大地震の衝撃 日本よ! この国はどこへ行こうとしているのか」
であり、「草木国土悉皆成仏」は一考に値する。
その文中に「電気もガスもなかった江戸時代の人間が、現代の
人間より不幸だったか? むやみにエネルギーを使わない文明を
考えないとあかんなぁ」とあり、私は痛く共感した。
話題は小松左京のSF小説「日本沈没」を引き、東日本大震災
に類する今日を予測した田所雄介博士を評している。田所博士は
野人で、天才的猪突猛進型に描かれていると紹介している。「日
本社会は異端を嫌う。学者も孤独を恐れる。それでは真の学問は
できませんよ。哲学でも千年先を見据えた新しい哲学をつくらな
いと」とまでを読み進み、私ははたと膝を叩いた。それは平野代表が口を尖らして、念仏のように唱えている「現
代は、ハゲタカ資本主義から、情報通信社会への文明の移行期に
ある。現下の混乱の要因はそこにあり、次に目指すべきは共生社
会である」との理念(哲学)であり、それは取りも直さず、私た
ちの国の「真の独立への指標」だからでもある。
◎「日本一新運動」の原点―47日本一新の会・代表 平野 貞夫
○もうひとつの『国家危機』
東日本を襲った巨大震災と津波災害、そして福島第一原発災害。
日本という国家社会を自然の猛威が襲った最大の悲劇である。さ
らに原子力発電という人類文明を象徴するシステムの崩壊である。
いま、日本国はこれらの天災と人災による『国家危機』といえる。
私たちは、この『国家危機』とは別に、もうひとつの『国家危
機』があることに気づかなければならない。それは未曾有の災害
に対する政治の対応が適切に機能せず、危機管理の中心であるべ
き内閣・官邸が混迷を続けていることである。災害対策基本法に
もとづいて、菅首相を本部長に「緊急災害対策本部」を設置した
ものの、強制力を持つ対応もなく、やたらと問題別の対策本部を
乱立させ、統括的総合性と個別対策の有機的な連携ができておら
ず、各省庁がバラバラの対策となり、最悪の事態となっている。
被災者の救援に必死の活動を続けている自治体職員、他府県の
応援消防隊員に、自衛隊員はじめ災害関係の政府職員、ボランテ
ィア活動の民間の人々、さらに政務三役らのご苦労には頭が下が
るものがある。
しかし、どうしようもないのが政治家の危機意識である。特に
最高責任者の菅首相と政権与党の岡田民主党幹事長については、
報道されている話だけでも、政治家としての基本認識に重大な欠
陥を感じているのは私だけではない。
二人の統治能力の問題点が被災地現場に混乱を持ち込み、被災
者や、一般国民を不安のどん底に陥れている。被災現場だけでな
く、国家権力行使の総元締めである内閣・官邸が機能を失ってい
るといえる。菅首相と岡田民主党幹事長には、自己の面目を保持
しようとする意識が先行し、己を捨てて国家国民のために、国内
外のあらゆる人材力を活用しようとしないことに問題がある。要
するに巨大震災と原発災害に対する危機意識がなく、それが内閣
と政権与党が機能を失い『国家危機』を招いているといえる。加
えて、その意識を持っていないのが衆参両院議長である。彼らは、
東日本の国土と社会が崩壊した巨大震災で、死者・行方不明者・
安否未確認者が5万人にも及ぶかも知れない惨状を知っているの
か。
さらに、福島第一原発災害は、日本国内だけではなく、世界的
被害に拡大しているが、日本国家の存立と、日本人の存亡の危機
にあるという意識を持っていないことは、誠に残念なことである。
与野党の国会議員の中には、この非常事態を『国家危機』とし
て認識している人たちがいて「如何に対処すべきか」、私に意見
を求めてくる人たちもいる。その人たちは、民主党の場合には岡
田幹事長に抑えられて動きようがないとのこと。今、党内抗争の
ような動きはすべきでない。しかし、国家と国民生活の危機には
自らが立ち上がって、政治の在り方を論議することは、国民から
負託された国会議員の職務ではないか。その気はあっても動き方
を知らないことに問題がある。
一方、野党側にも『国家危機』に対する認識が浅い。個々の国
会議員の中には、献身的に被災現場でボランティア活動をしてい
る人たちもいるが、政治全体としての対応を構想する政治家がき
わめて少ない。民主党に比べて国家観をもつ政治家は多いが、持
ち方に問題があることと、知識が専門的で切り売り的だ。自民党
指導層の軽さに比べると、まだ増しだが、昭和30年代から始ま
った「豊かな国づくり」に寄与した先人からすれば、とても国家
の危機を乗り切れる政党ではない。
劣化した日本の政治を見るにつけ、巨大震災がもたらした『国
家危機』とは別に、日本政治における重大なもう一つの『国家危
機』があることを私たちは肝に銘じておくべきだ。この間、各国
の専門家からは、日本の政治や官僚体制が、日本の技術を生かす
どころか、その妨げになっているという厳しい指摘を受けている。(国家の危機体制を教示するのは歴代総理だ!)
この巨大震災の救援・復興活動の中で、如何にして『国家危機』
の意識を持ってもらうか、とても難しい問題である。菅首相にと
っての巨大震災は「在日韓国人からの違法献金」問題を、野党の
追及から逃れる絶好のチャンスであったことは事実である。
3月11日(金)、震災当日夜に、菅首相が記者会見した時の
雰囲気は、政権延命を確実にした自信に充ちていた。その気負い
が震災への客観的認識を誤らせたといえる。
菅首相の心の奥底の中で、巨大震災を有り難いと思う深層心理
が働いたのではないか。それが翌日早朝の福島第一原発災害視察
となる。そこから宿命の神は菅首相から離れていく。そして震災
が未曽有であったように、国家最高指導者として未曽有の崖っ縁
に立たされることになる。
菅首相がこの巨大震災にどう取り組むのか、真っ当な姿勢を確
立することで、『国家危機意識』が向上するのではないかと思い、
私は「東日本大震災及び福島第一原発問題に対する政治の取り組
みについて(構想案)」というメモを知人の政治家や有識者に発
信した。内容の要点は、「メルマガ・日本一新」の46号に掲載
した。このメモは、内閣府顧問の笹森清元連合会長から菅首相に
渡され、しかも、提言者である私の実名も伝えたと聞いている。
3月19日(土)午前、菅首相は鳩山、小沢、前原の民主党代
表経験者三氏を招き、状況を説明して協力を要請したようだが、
「挙党体制を築くべき」というポイントの話は出さなかった。そ
の直後唐突に、自民党谷垣総裁に、副総理格で震災対策担当での
入閣を電話で要請し、即座に拒否された。「挙国体制を確立すべ
し」と言う私のメモを摘み食いしたものと思われる。ことここに
至っても、菅首相に『国家危機』への認識は感じられず、自民党
は災害対策の責任転嫁だと主張することになる。
この状態が続くとすれば、国家の存立と日本人の存亡に関わる
ことになる。菅首相が政治家として少しでも普通の感性になって
もらうため、今は何をすべきか。それは被災から二週間も経って、
救援物資が行き届かず、原発災害の解決にも見通しがつかないと
いう最悪の事態が目前となった。菅首相には『国家危機』を認識
して貰わなくてはならない。
その役割は歴代の総理経験者が果たすべきではないか。「日本
一新の会」では、この運動に全力を挙げたい。
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