東日本大震災津波・岩手からの報告
◎ 東日本大震災津波・岩手からの報告日本一新の会 達増拓也
(岩手県知事)「日本一新メルマガ」への投稿は、大震災津波後、初めてにな
ります。岩手県や県内被災地に対し、全国から、世界から、多く
の支援、お見舞い、激励をいただいています。この場を借りて、
感謝申し上げます。
また、大震災で犠牲になられた方々、その関係者の方々に、心
からの哀悼の意を捧げます。発災翌日の3月12日、岩手県選出参議院議員である平野達男
内閣府副大臣が、23人の事務方と共に岩手入りし、岩手県庁内
に政府の現地連絡対策室を立ち上げました。事務方は、内閣府の
防災担当参事官の下に各省庁の若手で構成。県庁内には、11日
のうちに自衛隊の連絡窓口もでき、その後、北東北3県を管轄す
る第9師団の司令部が青森市から岩手県庁に移されました。これにより、発災当初から、被災地が直面する課題について国
と地方自治体の職員が共同で解決する体制ができました。同じこ
ろ、県は、停電と通信途絶の中で、12の沿岸市町村全てに本庁
職員を派遣して、状況を把握し、初動を支援しました。市町村と、
県と、国の各省庁がつながって、人命救助、避難、応急復旧、被
災者支援を展開しました。避難所のケアは、自衛隊に負うところ
大です。工場で研修をしていた中国人が多数被災したので、外務省の中
国語ができる職員にすぐ来てもらいました。被災市町村の行政機
能が大きく損なわれており、県や他市町村からの大規模な支援が
必要だということで、市町村行政に詳しい総務省職員に来てもら
い、支援体制作りを手伝ってもらいました。その他にも、いろい
ろと、現場の要請で各省庁に動いてもらいました。後に政府が決
めた被災地支援策のかなりの部分は、市町村、県、各省庁の事務
方の「現場力」で作り上げたといえます。ガソリンなどの燃料不足が長く続いた件は「現場力」では対応し
きれず政府による全国的な調整力と指導力の不足がたたりました。
なお、宮城県の政府現地連絡対策室担当の東祥三内閣府副大臣が
岩手の被災地入りした時に、仮設ガソリンスタンドの設置を現地
で決めてくれ、すぐ実行されたのは助かりました。「政治主導」を感じたのは、がれきの処理です。樋高剛環境政
務官が政府のがれき処理プロジェクトチームの座長となり、関係
省庁の事務方を糾合し、平時であれば1年かかるような省庁間調
整を2、3日で終わらせました。阪神淡路大震災時を上回る財政
措置も決まりました。
がれき問題は被災市町村長が抱える最大の悩みの一つであり、
大いに助かりました。樋高政務官は、中選挙区時代に小沢一郎秘
書として陸前高田市などの今回の被災地を担当しており、かつて
一軒一軒歩いた家ががれきとなってしまった、そのがれきの問題
は何としても解決しなければならない、と言っていました。発災直後、私が被災地の市町村長さん達にお願いしたのは、住
宅地図で一軒一軒確認するように被害状況を把握すること、名簿
をしっかり作って住民の安否状況を把握すること、でした。住宅
地図と名簿は、小沢一郎さんに習った選挙手法でもあり、災害対
策本部長の仕事は選挙対策本部長の仕事と共通点がある、と思い
ました。
また、私は津波の被害を受けなかった内陸の市町村長さん達に
集まってもらって沿岸支援への協力をお願いし、さらに、県内の
諸団体に被災地支援をお願いする文書を作って協力を依頼しまし
た。目的を達成するために、より多くの団体、企業、個人の支援
を取り付けていく、というのも選挙の手法に似ています。選挙に
おいて有権者の力を結集して為すべきことを実現する手法は、災
害においてあらゆる力を結集して被災者を救う手法と共通するの
です。ちなみに、団体対策に強い自民党本部は今回の災害でも動きが
よく、経団連と被災県を直接結ぶホットラインは、経団連の機関
紙で喧伝されていますが、自民党災害対策本部が仲介してくれた
ものです。がれき処理で財務省が前例のない財政措置を認めたのには、小
沢一郎さんのはからいがあったと思います。小沢一郎さんが岩手
入りした時、私との会談では「県は補正予算でいくら確保したか」
とか「国の本予算には○兆円の予備費があるから、まずそれを使
えばよい」とか、財政的な話が中心になりました。財務省筋から、
かなり情報を得ており、また財務省に対してかなり影響を及ぼし
ているな、という印象を受けました。がれき処理以外でも、財務
省が前例のない財政措置を認めた分野がいくつかあります。私は、平安時代の中央政府による東北平定の歴史を踏まえ「東
祥三さんは宮城駐在の征夷大将軍、平野達男さんは岩手駐在の鎮
守府将軍。今回は地方勢力と力を合わせて東北の平安のために働
いていますが、小沢先生こそ2人の将軍の上にいる大将軍だと思
っていますからね」と言いました。小沢一郎さんは、「はっはっ
は」と笑うだけでしたが、本人も大将軍的な立場を自覚していろ
いろ手を打っているのだな、と私は感じました。それから、仙台空港を在沖縄米軍が片付けたのは、新進党から
自由党のころに小沢側近と呼ばれていた元衆議院議員の米津等史
さんの働きかけによるものだったようです。米津さんは普天間問
題の関係で在沖縄米軍と一緒に仕事をしており、大震災津波後、
仙台空港が放置されているのをテレビで見て、在沖縄米軍に片付
けられないかと持ちかけたところ、じゃあやろう、ということに
なった由。ここでも小沢一郎の弟子が奔走していました。大震災津波そのものによる被害への対策については、「小沢力」
がかなり有効に働いていると思います。しかし、今のままでは、
「小沢力」が全く生かされないのが、原発対策です。本人も、そ
こが一番もどかしいと感じているのではないでしょうか。
平野代表著作増刷のご案内
このところ一部の書店で品切れとなっていた「虚像に囚われた
政治家 小沢一郎の真実」(講談社プラスアルファ文庫¥840)が
増刷され、五版を重ねました。近日中に店頭に並ぶものと思いま
すので、ご案内いたします。
内容拔萃
政権交代を狙う真の実力者は、梟雄か英雄か?出生の秘密、自民
党幹事長時代の「自民党総裁候補面接事件」の真相。
新生党結成から非自民連立政権樹立までの全内幕、そして、次々
と離れていった側近たちの思惑などのすべてを、初めて明らかに
するインサイド・ストーリー!側近中の側近が見た政治家「小沢」
の虚像、そして人間「一郎」の実像とは。
第1章 政治的遺伝子
第2章 政治の原点と「角福戦争」
第3章 角栄と一郎
第4章 消費税とリクルート事件
第5章 「豪腕」幹事長の真実
第6章 非自民連立政権の全内幕
第7章 離反した政治家の思惑
終章 生活者の国家を
また「日本一新―私たちの国が危ない」も増刷され、手に入りや
すくなりました。(鹿砦社刊¥1.470)
「日本一新運動」の原点第三集・小冊子版(94P)は、送料込で
@500.-で販売しています。ご希望の方は事務局まで・・・。
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推薦図書の紹介(再録)
1、危機の日本 議会政治 有朋書院 平野 貞夫著
(東洋思想の知恵で日本政治の再生を) 2002年発行
平野代表の「危機の日本 議会政治」はとうの昔に絶版と思って
いたが、ある機会にGoogle検索をかけたところ、注文可能。
その内容は、論語の教えを核にして政治を考える資料で、某大学
の講義資料をまとめ直して上梓されたものである。
学生相手の教科書だから少し堅いが「質(たち)の悪い思想家」
を理解するには良書であると思う。
但し、Amazon・紀伊国屋ではなく、メジャーではない通販が手に
入りやすいようだ。Google検索が最善・・・。 ¥1.500
2、豊かさをつかむために 中西出版 元田 厚生著
2008年発行
元田会員の「豊かさをつかむために」は、正直難しい。それは、
この本も学生相手のテキストとして上梓されたのもだから、然も
ありなんと言うところである。しかもヨコ組だから、年寄りには
余計読みづらい。但し、その趣意は吟味に値し、私は通常の3倍
ほどの時間を掛けて読み、ほんの端っこを理解したに過ぎない。
これは、中西出版(http://nakanishi-shuppan.co.jp/)あてに、
直接注文すると、はやく手に入る。 ¥2.000+税
3、着物を着たら おとな仕草 角川書店 中谷比佐子著
2005年発行
中谷会員の「おとな仕草」は、きものを通して日本人の生き方、
在り方を問うものであり、その節々には、ハッとさせられる「こ
とば」が並ぶ。女史との初面談は衆議院議員会館の玄関で、私は
女史の到着を待っていた。少し時刻が遅れ気味で、タクシーを降
りて急ぎ足で颯爽と歩くその着物姿は凛々しく、かつ美しかった
(着物が!)のが、強く印象に残っている。
この本は、秋櫻舎(http://www.kos-mos.com/)へ直接注文。
¥2.500
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