呆れた値段だ。
為替や物価が違うんだからそういうやり方もできるのは認めるよ、しかし、必ず後でしっぺ返しが来ると思うな。
ある人から教えていただいた海外委託ラボの料金表。
これまでもいろんなラボの料金表を見てきたけど、ここが最安値かな。
たしか、訴訟やその後の厚労省の通達では、保険の補綴物を海外委託技工でやることは、違法とされていたのじゃないのか?
実際、この委託ラボのHPを見ても、保険は扱っておりませんと書いてる・・・・書いてるよなあ・
じゃなんだ、料金表の12%パラジウムと明記された枠の技工料金は?
貴金属の料金と明確に違えてあるが??
保険だから安くしているんじゃないよ、12%パラジウムという金属を使うから安いんだよと?
そもそも12%パラジウムという金属自体が、日本の言い方は悪いがガラパゴス化した歯科医療保険制度の為に設定された企画に沿った薬事法認可の歯科用金属となってるんだけどな。
それ以外だったら?
例えばシルバー925を使ったらどうなの?
真鍮をつかったらさ。
確かに12%パラは保険以外に使っちゃいけないとはどこにも規定されていないし、現にインプラントの上部構造体に使われているのも事実だけど、じゃ、この料金表の12%パラジウムも自費インプラントと同じだっていうのかねえ??
大体、この料金表の技工項目だって、日本の保険制度の補綴項目そのものなんだから、HPでどんだけ扱っていないと言いはっても、なんか無理があると思うんだけどな。
とにかく国民の皆さん、国内保険制度での技工料金は医療保険制度に位置づけされていませんが、技工物の作製料金や歯科医院からしたら保険機関から受け取れる補綴物(技工物です)作成点数や材料点数は、明確に決められているのです。
お示しした料金表にあるような名目で。
日本人の日本の技工士がこの補綴物を作成しても、そもそも作製点数の満額が歯科技工側に渡るわけではございません。
7割は歯科技工側に支払うべきと国会でも議題になっていたし、大臣告示まで官報に載ったんですがね。
日本国内で業を営む限り、私共日本人技工士は日本の社会的コストを払わねばならないし、物価も日本の水準で生活せねばなりません。
その場合、標準的な技工物を一般的な労働時間内に作成しても、補綴点数の7割を頂戴しても生活ができるといえるレベルにはならないし、年金や保険料も払えないなんて笑い話のような事になってしまうんですね。
それを、この海外委託ラボのように海外に出しさえすれば、安くできると喧伝する。
扱っていないと言いつつ、保険はここまで安くできますよと、この海外委託ラボは誰に訴えているのか?
安くなった分、一体誰がその差額の益に浴するのか。
患者さん、アウトレットでブランド物を安く買えたとして、誰が得したと実感しますか?
こうなったら患者さんは保険の窓口3割負担なんて払う責任はないんじゃないですか??
いくら技工料金や補綴物が値下がりしても、事、保険診療に関しては、値下がりの実益は患者さんにはもたらされないんですから。
インプラント問題報道の影で、海外委託技工の問題にも光が当たることを期待してます。
追記
国は増加する社会保障費を一円でも切り下げるために、歯科の点数を躍起になって低くしようとしています。
インプラントの保険収載なんて形ばかりで、実際に請求するには病院歯科であってもハードルは高いでしょう。
そんな状態ですから、安く回ってくれるなら海外委託でも何でも黙認というのが本音ではないでしょうか。
そもそもインプラントの保険収載にしても、加藤さんの記事の見立てが本音で、これ以上インプラント事故が増えても厚労省にその監督責任は無いよと言うアリバイ作りなんでしょう。
そんなですから、一般的な12%パラジウムを使ったような保険補綴治療も、余程のことがない限り点数的な手当をすることも、制度の問題を問うこともしないでしょう。
黙認だと思います。
歯医者さんたちは沈黙したままですが、一体誰がこのような状態で利益を得るのでしょうか。
その最大の受益者は言うまでもなく国だということになるでしょう。
私も国保の保険料を何とか支払っていますが、本業の歯科技工の売上では負担できない所まで来ました。
技工料金が下がるなら、私の国保負担料も下げて欲しい。
そう思いませんか。
値下がりするのが良いことななら、患者さんや国民が受益者になるべきでは。
患者さんたちは月々の保険料負担以外に、窓口で3割負担が普通でしょう。
では、補綴物がお口にセットされた時、窓口で「これだけ技工所が安くしてくれたのでおまけしますよ」と言われたことでもありますか?
レシートに診療内容や点数が明記されていても、補綴物がの歯科医院での原価に当たる委託料金、技工料金は明記されていませんよ。
そこに、実はインレー525円と書いてあったとしたら。
レセプトの製作点数は1810円くらいでしょう。
525円といったら7割引ですよ。
なぜ、患者さんは7割おまけしてもらえないんでしょうか?
ねえ・・・
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Comments
まともな技工所に委託して出せる価格ではないな。ウチはFCK12ドルだから国内外の輸送コストや利益を載せれば1800円になってしまう。日本の免許を持った技工士を配置し日本から薬事を取った金パラを送れば合法だが価格的なメリットがないから保険はやらない。
それに中国には咬合面形態をワックスアップできる技工士は極めて少ない。PFMが主流だからだ。だからCADと3Dプリンターでパターンを作る。パターンの材料だけで3ドルかかる。
まともでない技工所でも無理な価格だ。金属が怪しいな。歯科業界も落ちるとこまで落ちた。
Posted by: 在中国技工士 | February 04, 2012 08:13 AM
>>在中技工士さん
やっぱりおかしいと思いますか?
台湾や中国から見ても。
525円が、件の委託ラボに入るとして、どうやって利益を出しているのか、ホント分かりません。
まあ、一本作って利益や元を取ろうとも思っていませんが、海外委託ともなれば、日本の個人ラボが隣近所の歯医者さんと直接やり取りして料金を頂戴するよりも数倍の手間暇と流通、雇用、機材のコストが上乗せされるはずですから、いくら中国やベトナム、タイなどASEANの人件費が安くても限度があるのじゃないかと思うんですよ。
まあ、移送費とかは、一個送るわけじゃなく、自費の技工物と同梱しているのだろうけど、それにしても何をどう削ってのこの価格なんだろうなと。
Posted by: G3 | February 04, 2012 01:18 PM
自費技工物は人件費の安さよりも器機・材料の価格差が大きいから利益が出る。ドイツメーカーから直接大量仕入れと内外価格差でWillobond280 エンプレスe.max、ジルコニアなど日本の技工所が買ってる値段の1/3以下で手に入る。
しかしパラは貴金属で日本でしか作っていないから輸出するコストが増えるだけ。大量仕入れのメリットもほとんどない。自費のケースとまとめて送っても送料は重さによるからそうそう安くはならない。上海や大連のPFM一個2000円のラボで作っても日本でFCK1500円以下では何も利益がない。
よってコイツらが何やってるかは想像がつく。
Posted by: 在中国技工士 | February 04, 2012 03:05 PM