疑義解釈という歯科の棘
日技専務理事だった佐野は、参考人で国会に行った。
直前の予算委員会に参考人として呼ばれた当時の日本歯科技工士会会長森谷誠司が、歯科技工士の料金を問われて実態とは乖離した料金を答弁し、その責任を問われて会長をやめていたからである。
それ故、佐野は社会労働委員会へは日技のトップとして挑んだ訳である。
その頃は佐野もまだ気骨を示していたのだと思うのだが。
日技は当時から政治家への働きかけを強めていた。
県や支部レベルでも、今も同じだろうがパイプを作ろうと務めてきた。
だが、公益法人の政治活動は制限がある。
建前として政治連盟を作り、政治活動は別法人の顔で行うのが、日本の常識らしい。
議員に働きかけるのは何故だろう?
議員立法を狙うのももちろんあるだろう。
しかし、年間何十億と言う政治予算を計上してきた日歯ですら、子飼いの議員を当選させるのは一回の参議院選挙でも一人がいいところ、議員立法が可能な何十人もの国会議員を誕生させるような力はない。
翻って日技。
政治連盟の年間予算は歯科医師会と比べるべくもなく、自民党の議員に食い込むのも、大変だったと思う。
実は、相模原支部に所属していた当時、支部会費の不正利用で元支部長が裁判沙汰となった。
当時の自民党衆議院議員で相模原を選挙区としていたのが、厚生事務次官も務めた戸沢 政方だった。
選挙地盤ということも在って、元支部長が秘書と渡りを付けたのだろうか。
支部のお金が献金に回ったのか、それとも私的に流用されたのか、今も真相はわからないままだ。
だが、相模原支部が戸沢支援で動いていたことは確かである。
戸沢の後は藤井裕久になり、秘書さんや議員本人が我が家に訪れていた事を思い出す。
で、なんで議員を動かすかって話だね。
結論から言えば、厚生省を、官僚を動かしたいからって言うことだよね。
そこで、ようやく、国の真の支配者は誰かっていう疑問と繋がってくるわけ。
岩澤氏がただの行政の仕組みを示したにすぎないという昭和63年の大臣告示。
その時点で、なんでわざわざ行政の仕組みやら構成やらを、官報に告示しなければならないのか不思議じゃないか?
診療報酬についてなら、その構成についてもだが、健康保険法にありますと言えば済むだけの話だ。
それを、昭和50年の予算委員会や社会労働委員会から続く、歯科技工問題、技工料金問題で持ち出すこと自体が、分配の問題じゃないとか、点数の決め方だとか言っても、それこそ、そのような解釈をさせることが目的で、この大臣告示を使ったのだとしか思えないのである。
差額問題や、同時に国会でも議論された歯科技工問題、料金問題への厚生省の答えは、現状は何も変えない、しかし、それぞれが錯誤しつつも納得するような、告示を出すことで幕引きを図ったのではないのかと言うことである。
診療報酬の構成比を7:3に分けていることを告示で示す。
それだけ見たら、どう考えても料金の分配、構成だと思う。
法律的にも厚生省としても嘘は言っていないわけだ。
少なくとも、日歯と日技とが話し合って、紳士協定でも結ばれていれば、分配が成立したかもしれない。
しかし、そこで日歯は橋龍を動かした。 動かせたかに見える。
厚生省官僚としては、差額問題さえ収束すれば、それ以上、社会保険法や診療報酬制度を変える必要はない。
歯科技工士問題など元より扱う気はなかったのだと思う。
日歯に飴を与えたとか、橋龍の圧力に動いたとかじゃなく、最初から歯科技工士法や歯科技工士は眼中になかったのかもしれない。
日歯は、それまでの保険制度での経験から、なにかあればこうすればいいというものがあった。
それが、疑義解釈である。
ある友人が、この問題については、大臣告示は自分にとっては疑義解釈が全てであると、そう伝えてきた。
この友人の言葉こそが、私にこの一連の記事を書かせた原動力である。
日本には憲法もあり、それぞれの分野で法律もある。
だが、法律はあくまでも法律であって、実際の行政においては官僚の存在、方針が全てなんだと思う。
だからこそ、議員は躍起になって国会で上っ面の討議を繰り返し、議員が官僚を主導している風を装うが、実際は全てが官僚の手のひらの上である。
それだから、少しでも官僚を動かそうとして、それぞれの業界団体などは盛んに議員に献金や賄賂を献上するのである。
それもこれも、官僚が省令や施則、通知通達をもって、法律を自由自在に運用できる仕組みになっているからだろう。
ホンというと、官僚自体を取り込んじゃうほうが、話は早いのは、厚生省だったら岡光さんの例でも分かるけどね。
大臣の告示より、官僚の回答である、解釈の方が重いとか、実際の効力があるなんて、おかしな話しじゃないか?
それが、脇本さんや大塚先輩にある当然の疑問だ。
疑義解釈が全てと言うのも理解できるし、政府関係の施則は全て、法律を施行する上での実際的な法律を動かす法律で、それこそが官僚の力の源泉でもあるのだろうが、だからと言って泣き寝入りは出来ないと言うか、誰かが筋を通さなきゃおかしいと言う事なんだろう。
現実の政治や対米関係を見ても、閣僚や政治家が何を話そうが、また、財界人やマスゴミが、国民世論が何を言おうが、日本の公式な発言と言うか、決定事項、見解は、全て官僚の筋書きと言うか、官僚の意思そのものだろう。
技工料金での、大臣告示は、歯科診療報酬や歯科技工士への報酬の面で、官僚側の責任も追求されたと思う。
国会で審議された以上、厚生省の官僚もしらぬ存ぜぬではいられ無かっただろう。
国民の関心は、あの時確かに国会や厚生省に向いていたのだ。
歯科の診療報酬を上げさせる口実を、ただの一つも与えたくない官僚や厚生省は、大臣告示で面子を守りつつ、歯科業界内でうまく分配して欲しかったんじゃないか。
それが、ニチハによってどうにもならなくなった。橋竜も金は受け取ったよな。
佐野も300万ほど。
最後は結局一番弱い技工士が打ち捨てられた。
厚生省や官僚は対処してみせたようでいて、実質的には現状のまま放置した。
制度や法律は何も変えなかったんだよ。
大臣告示が出ていかにもな通知通達が出て、待っていたかのように疑義解釈が出て。
国会で集中審議されたような問題が、実態は何も変わらないまま、まるで国側は全て対処されたかのように、表面上は取り繕われ、技工士やニチギは声を出す機会も根拠も失った。
茶番の一翼を演じたのが、佐野とその一派とニチギな訳だ。
疑義解釈が全てと言うのも分かるが、受け入れちゃったら、それで納得しちゃったら、自分たちは一歩も進んでいないと言う事だろう。
歯科の棘を抜くというが、大臣告示そのものが歯科の棘となって、告示され続けているというのが正しいのではないだろうか。
Recent Comments